2009 Fiscal Year Annual Research Report
南戯「劉希必金釵記」の文字学・方言学などによる総合的研究
Project/Area Number |
21520385
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
福満 正博 Meiji University, 経営学部, 教授 (60165313)
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Keywords | 中国文学 / 中国語 |
Research Abstract |
研究の初年度として、中国の現地調査を4か所で行った。これらは、元明時代の戯曲・小説の出版や、抄本「劉希必金釵記」と深く関係している場所である。研究対象の本を見ただけでは分からない、現地の地勢や方言などを実際に見聞して、研究に役立てようという目的である。 2009年6月13日から、19日まで広東省の潮州市と、江西省の吉安市に行って調査してきた。広東省の潮州は、抄本「劉希必金釵記」が発掘された地点で、従来報告書は存在したがよくわからなかったので、実際に現地に行ってみて、発掘地点を確認した。しかし、そこがどのような場所であったかということが分かって、非常に収穫となった。 その後、江西省の吉安市に向かった。ここは、抄本「劉希必金釵記」が発掘されたときに、同時に「吉安路」と書かれた銅鏡が出土しているからである。様々なことが分かったが、一番大きな成果は、広東省潮州市と江西省吉安市の位置関係を自分で移動して見て、理解することができたことであった。 また同じ2009年10月30日から11月7日にかけて、福建省建陽市と江西省弋陽県を調査した。福建省建陽は、元・明時代の戯曲小説の出版の中心地であるが、なかなか交通が不便な所である。建陽では出版した書籍をどのようにして出荷するのか、大消費地である江南地方まで運ぶのか、いろいろな問題が関連していた。当時の出版地の麻沙鎮・書坊鎮を回り、また建陽市から西側の邵武市にぬける道などを通った。書籍を出荷するルートをある程度たどることができて、理解を深めることができた。 その後、江西省弋陽県に向かった。明代の初期に崑曲と並んで南戯を代表する弋陽腔が起こった地点である。現地弋陽県の文化局と連絡を取ることができ、現地の古い舞台・戯台のうち、童家台・湾里郷西李村李氏宗祠戯台・芳〓戯台の3か所を見せてもらった。一番古い湾里郷西李村李氏宗祠戯台は、明の宣徳年間にできたものということであった。
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