2009 Fiscal Year Annual Research Report
文久年間日本、言語・文化交流の総合的研究・・・翻訳語彙の概念史研究を中心として
Project/Area Number |
21520388
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
上垣外 憲一 Otemae University, 総合文化学部, 教授 (50120332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲賀 繁美 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (40203195)
塚原 東吾 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (80266353)
劉 建輝 国際日本文化研究センター, 研究部, 准教授 (00321620)
川尻 文彦 帝塚山学院大学, 人間科学部, 准教授 (20299001)
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Keywords | 文久年間 / 化学用語翻訳 / 宣教師翻訳事業 / 蕃書調所 / 千歳丸 / 富士登山 / 日本美術品の輪出 / 英和辞典、英華辞典 |
Research Abstract |
2009年10月31日、11月1日の両日にわたり、武漢大学聶長順、馮天瑜、北京大学孫健軍、三名の研究協力者の参加を得て、国際日本文化研究センターにおいて、研究分担者全員が発表を行うシンポジウムを開催した。劉建輝、上垣外が、日本、中国の1960年代の文化交流の問題について、総括的な問題提起を行った。馮天瑜、川尻は、上海に派遣された千歳丸の果たした文化交流の問題について報告、孫健軍は、中国における宣教師の翻訳事業における翻訳語彙の問題について報告を行った。塚原は、宇田川榕庵の翻訳語彙とその影響に関する報告、聶長順は、「University」という概念の中日両国における本鵜役の問題を取り上げ、報告を行った。 発表は、論文の形で提出されており、最終報告書において、出版の予定である。 本年度は、第一年目にあたり、これまでの研究を「文久年間」という枠組みの中でどうとらえるか、という点に焦点があったが、孫健軍、聶長順、両氏の発表は、語彙の個別の翻訳問題に踏み込んだものであり、新たな知見が盛り込まれたものであったと評価される。 まだ、稲賀繁美は、2009年8月にオランダにおける日本美術品の所蔵調査を行い、1860年代を含む、最初期の日本美術品のオランダに対する流入状況を、ある程度明らかにした。これは、すでにオランダなどでの研究で手のつけられた部分はかなりあるが、初年度の調査としては、新知見を含め、これまでの研究に新たな視角を加えたものであると評価される。 シンポジウムにおいて、討論された内容のうち、文久年間の日本における翻訳事業の中心となった「蕃書調所」の役割について、その重要性を再検討すべきだとの意見が出された。2011年度の重要な研究テーマとして、改めて調査、研究を追加する予定である。 なお、研究発表の中の上垣外憲一著書、「富士山」は、幕末期から明治にかけての、富士山に関する地理学的、気候学的研究、ヨーロッパの登山ブームの日本への波及としてのオールコックの富士登山などが、本研究に関わる記述である。
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Research Products
(5 results)