2011 Fiscal Year Annual Research Report
文久年間日本、言語・文化交流の総合的研究・・・翻訳語彙の概念史研究を中心として
Project/Area Number |
21520388
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
上垣外 憲一 大手前大学, 総合文化学部, 教授 (50120332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲賀 繁美 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (40203195)
塚原 東吾 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (80266353)
劉 建輝 国際日本文化研究センター, 研究部, 准教授 (00321620)
川尻 文彦 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (20299001)
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Keywords | 文久年間 / 蕃書調所 / ポサドニック号事件 / 勝海舟 / 西周 / 洋務運動 / 千歳丸上海行 / 海軍操練所 |
Research Abstract |
研究代表者、上垣外は蕃書調所における英和袖珍対訳辞書の成立過程に注目し、西周がどの程度関わったか、また、軍艦奉行並に就任する直前の時期(文久元年)の蕃書調所教授としての勝海舟の果たした役割について研究を行った。勝海舟については、むしろ全く蕃書調所の教授としての活動が見あたらず、そうであるとすると文久元年に起こったポサドニック号事件の解決に勝海舟が関わったと『氷川清話』で語っていることから推して、勝海舟はこの時期、対馬に派遣され、さらに長崎に至って、イギリス代理公使ウィンチェスターと協力して、中国、ロシアに対する外交的な働きかけを行ったと推察される。ポサドニック号事件は、幕府に海軍力増強とイギリスとの外交上、軍事上の連携の必要性を痛感させた事件であり、その後の文久年間の主要な出来事、ロンドン万博への参加、オランダへの海軍留学生の派遣、さらに勝海舟の神戸海軍操練所の設立、などに深く影響を及ぼしたことが推論された。 稲賀繁美は、この時期から明治初期に至る日本美術の海外への輸出、あるいは流出状況について調査を行い、劉建輝は文久年間に相当する中国における洋務運動の胎動期の特に上海における状況を調査した。 川尻文彦は社会をはじめとする翻訳語彙の研究を文久年間から明治十年頃までの時期に拡大して行った。 なお、中国での研究協力者である孫建軍北京大学准教授は、中国に於ける1860年代における翻訳語彙の研究発表を日文研で行われた研究会で行い、馮天瑜武漢大学教授は、この時期の日中文化交流、比較文化史の観点から、研究序説、総括にあたる小論文を研究報告書のために寄稿された。 なお、国際日本文化研究センターに於いて9月に国際研究会を開催し、北京大学孫建軍准教授などの参加を得て、研究発表会を行った。学会発表には当たらないので、下記発表には加えないが、最終報告書に掲載する。
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