2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520391
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奥 聡 北海道大学, 大学院・メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (70224144)
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Keywords | 情報構造 / スクランブリング / ゼロ主語 / 総称文 |
Research Abstract |
本年度は、本研究プロジェクトの最終年度であり、内容の発展的進展が見られた。すなわち、日本語における目的語の省略と語順変位(スクランブリング)における情報構造上の制約をより深い文法原理(Reinhart 2006)から導き出す可能性を追求(Oku 2012として出版予定)してゆく中で、ゼロ主語の特性を正確に明らかにする必要性がでてきた(長谷川2010、Abe 2009)。ゼロ主語が「総称的(generic or quasi-universal)」あるいは「存在的(quasi-existential)」に解釈される現象を最新の理論的枠組みで分析してゆくことの必要性が明らかになってきた。一方で、ヨーロッパ言語を中心に、ゼロ主語をゆする言語における、ゼロ主語の総称用法の研究が、最新の極小主義的アプローチから積極的に研究されるようになってきている(Biberauer et al 2010など)。このような中で、そのような研究成果を踏まえた言語との比較を行いながら、日本語のゼロ主語の「総称的」「存在的」用法の精緻な比較統語論的理論的分析が必要であることが明らかになった。ロマンス語の非人称構文を統語的に分析した藤田(2010)をreviewすることにより、主語動詞「一致」言語における「総称的」用法の構文の特性を確認(奥2011として発表)した。また、今後の研究の端緒となる予備的研究を2本学会で発表(日本英文学会北海道支部語学部門シンポジアム「目に見えない要素をめぐって : 統語素性と削除現象」、日本言語学会ワークショップNoun Phrases in Japanese : Syntactic Dependencies and Interpretations)し、他の研究者との情報交換を行い、フィードバックを得た。
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Research Products
(4 results)