2009 Fiscal Year Annual Research Report
アジア諸言語における他動性と非規範的構文に関する記述的・理論的・実証的研究
Project/Area Number |
21520400
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鄭 聖汝 Osaka University, 文学研究科, 講師 (60362638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
パルデシ プラシャント 人間文化研究機構・国立国語研究所, 准教授 (00374984)
吉成 祐子 岐阜大学, 留学センター, 准教授 (00503898)
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Keywords | 他動性 / プロトタイプ / 非規範的構文 / 非意図的事象の他動詞構文 / 記述枠組みの開発 / 日本語 / 韓国語 / マラーティー語 |
Research Abstract |
本研究は、非規範的構文も含めた他動性の全体像を記述できる記述枠組みを開発し、日本語・韓国語・マラーティー語の三言語を通して、その枠組みの有効性を実証的に示すことを目標としている。本研究でいう非規範的構文とは、他動性のプロトタイプから逸脱した5つの構文、すなわち(1)非意図的事象の他動詞構文、(2)無生物主語の他動詞構文、(3)与格主語構文・二重主格構文、(4)動作主を含意する自動詞構文、(5)非使役者を含意する他動詞構文、である。 本年度(初年度)の課題は、まず類型的に異なるこれらの三言語を包括的・統一的な視点から分析できる記述枠組みの開発であった。これに関する研究成果は『大阪大学文学研究科紀要』に発表されている。この論文で提案された記述枠組みは、他動性の分野で常識とされている Hopper & Thompson(1980)の他動性のプロトタイプ観ではなく、むしろロッシュらの家族的類似性の概念に基づくカテゴリー観とそのプロトタイプ理論を導入することによって得られたものである。なお、この枠組みの有効性は、上記の5つの非規範的構文を含めた他動詞構文全体を通して、韓国語を例に、検証された。さらに(1)と(4)と(5)の構文に関しても、4本の論文を書き上げ、それぞれ成果を上げており、三言語ともに見通しのよい結果が得られている。 本年度の研究計画で最も重視していた「実験調査」(映像実験と質問紙実験)は、計画通り韓国とインドでそれぞれ行い(被実験者数:延べ600名ほど)、現在そのデータの集計と分析を行っているところである。これに関する成果は来年度から順次、発表していく予定である。
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Research Products
(8 results)