2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジア諸言語における他動性と非規範的構文に関する記述的・理論的・実証的研究
Project/Area Number |
21520400
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鄭 聖汝 大阪大学, 文学研究科, 講師 (60362638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
バルデジ プラシャント 国立国語研究所, 言語対照研究系, 教授 (00374984)
吉成 祐子 岐阜大学, 留学生センター, 准教授 (00503898)
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Keywords | 他動性 / 非意図的他動詞文 / 実験調査 / 日本語 / 韓国語 / マラーティー語 |
Research Abstract |
本年度(最終年度)は、大きく次のこ点の目標を立て、実行した、,まず第一点目は、日本語・韓国語・マラーティー語の3言語を対象に過去2年間行った二種類の実験調査(映像による実験と質問紙による実験)の結果を整理し、データベース化した。担当は日本語(吉成)、韓国語(鄭)、マラーティー語(ハルデシ)である。統計処理は吉成氏が担当した。それとともに日本語の非意図的他動詞構文に関する歴史的変化についても調査を行った。この調査は藤本真理子氏の協力を得て行われ、『科研成果報告書』に調査報告の論文が掲載されている。ここで、言語事実に基づく資料だけでなく、実験結果から得られた言語使用に関するデータおよび歴史的変化に関する資料が出揃い、データベースの充実化を図ることができた。第二点目は、実験結果のデータベースに基づき、積極的に研究成果を発信,していくことができた。まずソウル大学で開かれたJapanese/Korean Linguistics Conference 21ではYoshinari,Pardeshi and Chungが共同で発表を行い、その後もJK21に原稿を投稿し、掲載が確定した。この研究では、非意図的な出来事を他動詞で表現できる日本語と韓国語を取り上げ、原因条件が内的なもの(うっかり、目まい)か外的なもの(地震)によって他動詞の使用に相違が見られることを明らかにしている。またPardeshi&Yoshinariは日本語とマラーティー語における他動性の現れ方の相違を明らかにした論文をJournal of Japanese Linguistice 28に投稿し、採用が確定した。鄭は、他動性の高い出来事においても日本語・韓国語・マラーティー語の間には振る舞いの相違が見られることを突き止め、Morphology and Lexicon Forum 2011(大阪大学)で発表を行った。第三点目に、3年間の研究成果をまとめて総185頁の『科研成果報告書』を刊行した。
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