2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520412
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
船山 仲他 公立大学法人神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10199416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 健 公立大学法人神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (20259641)
三島 篤志 公立大学法人神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (10249443)
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Keywords | 発話理解 / 同時通訳 / 概念的複合体 |
Research Abstract |
同時通訳資料の作成 平成22年および平成23年に放送されたNHK-BS1の定時番組「ワールドWave Tonight」に含まれた英語話者へのインタビューの同時通訳(英語→日本語)、平成22年7月に実施された参議院議員選挙時の特番におけるインタビューの同時通訳(日本語→英語)を文字化し、原発言と通訳の対応を時間、対訳の両方の点で分析できる形式に整えた。特に、資料正味時間200分を超える後者の資料は本研究における初めての日→英同時通訳の記録であり、貴重な資料となった。 同時通訳データの分析 上記通訳資料に基づき、訳出に現れる諸特徴を観察、分類し、諸特徴の一貫性、非偶発性などを確認し、それらの現象を引き起こす要因を分析した。その際、通訳者が何についてどのような判断を下したかを合理的に推論できるように、関連資料も参照した。日→英同時通訳については、日英語間の構造的な違いに起因する述語訳出の多様性について興味深い現象が多数観察され、考察に時間がかかっている。 理論的考察 上記作業と平行して、データの解釈や訳出の捉え方などに関して研究分担者の間での議論を行ってきたが、学会などで主な成果を発表するには至っていない。研究課題である概念的複合体に関連する先行研究を参照しながら、同時通訳に見られる諸特徴を説明できる枠組みについて、最終年度となる来年度に向けて論点の整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英語→日本語、日本語→英語共に同時通訳記録の文字化資料の作成は最終チェックも含め順調に進んでおり、資料に基づく理論的考察に論点が増えたことにより論文化の作業が最終年度に向けてずれ込んでいる部分があるが、当初の目的を達成するテンポで進展している。同時通訳に見られる概念的複合を検証するという研究課題の達成が視野に入っていることから、本研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
同時通訳の遂行において通訳者が原発言の内容を概念的に把握するプロセスの中の概念的複合に特に注目するのが本研究のテーマであるが、英語から日本語への通訳にも日本語から英語への通訳にも共通する中核的側面を主な研究対象としている。日本語から英語への同時通訳に関して、通訳者による言語表現上の調整、つまり通訳技術上の方略が観察されるが、その側面の理論的位置づけについてもう少し考察を深めたい。その上で、通訳者の概念化の本質的なプロセスについては日本語→英語も英語→日本語の通訳と同様な扱いが可能であることを示したい。その部分をクリアにすることによって、本研究の課題である概念的複合について計画通り研究を推進することができると考えられる。
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Research Products
(1 results)