2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520430
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
在間 進 東京外国語大学, 名誉教授 (30117709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 節 東京外国語大学, 大学院・綜合国際学研究院, 教授 (50180542)
林 俊成 東京外国語大学, 大学院・綜合国際学研究院, 教授 (70287994)
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Keywords | ドイツ語 / 言語学 |
Research Abstract |
今年度も、昨年に引き続き、事例の収集、検索、頻度調査などの分析技術の、実践を通してのレベルアップを行なった。特に、有用性を検証する技術として、差分調査を用いた実証方法を試みた。 動詞の語句結合に関する実証的研究は、行為中心動詞(たとえばarbeiten)、方向性のある行為動詞(たとえばklopfen)、変化動詞(たとえばandern)などの分析結果を精緻化し、以下のような知見に至った:(1)コーパスに準拠した調査結果は学習的視点に立ったドイツ語辞典の記述と大きく異なる(すなわちコーパス分析結果と学習上効果的なデータの間のかい離)、(2)語句結合(「構文」)の意味機能は、比喩的表現に認められても、一般的には使用頻度が低く、有用性を想定する研究構想からすれば、結合語句の、実用性に基づいた上位概念的カテゴリー化の方がより有意義である。 方法論の理論的検討では、まず、使用頻度には、「話者(視点、捉え方)」「文形成の規則体系」「実際上の使用(言語経済性、認知能力的制限など)」の三つの要因が深く関わっているとの知見を得た。すなわち、「話者」の、たとえば物事の捉え方には複数の可能性があり、また、同一の事象に関して、複数の文形成規則による表現が可能であり、そして、言語使用には、さらに様々な言語経済的要因が関わって来るのである。次に、このような考察に基づき、言語使用の頻度は、ドイツ語の使用実態の根底に存在すると想定される「ドイツ語文形成規則体系」を反映するとする仮説を提示した。 以上の研究成果(意義・重要性)を簡潔に述べるならば、動詞の語句結合の分析を、「必須性」「非必須性」という「非実態的・言語内的」な概念から解放し、使用実態の分析も基づく、使用頻度を軸にした、有用性を目標とするドイツ語研究の一モデルを提示したということである。
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Research Products
(6 results)