2011 Fiscal Year Annual Research Report
台湾中央研究院所蔵イ(ロロ)文字文献の分類・解読・解題
Project/Area Number |
21520432
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
清水 享 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (90511048)
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Keywords | 台湾中央研究院 / イ(ロロ)文字 / イ(彝)族 / 雲南・四川 / 馬学良 / 傅斯年図書館 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き台湾中央研究院に所蔵されているイ(ロロ)文書の解読分析作業を継続して行った。雲南省禄勧・武定県の東部方言区の文書、雲南省紅河州近辺の南部方言区の文書、四川省涼山州の北部方言区の文書の文書、雲南省昆明市付近の東南部方言区の文書に関して、それぞれの地域でイ(ロロ)文書に精通しているインフォーマントとともに検討を進めた。 東部方言区および東南部方言の文書は、雲南民族出版社の張仲仁氏と解読分析作業を継続して進めた。イ族の祭司であるピモが各種儀礼の際に使用する経典などの解題を作成した。 南部方言区の文書に関しては、雲南省蒙自の紅河州民族研所の龍?貴氏と解読分析作業を継続して進めた。文書のなかには漢族の民間説話などからの翻訳なども見られた。すでにこの地域でも失われた同治年間の木刻本に関しても確認した。そしてこれらの文書の解題を作成した。またこれらの文書が紅河県や元江県で書かれたものであると同定した。 北部方言区の文書に関しては、四川省西昌の涼山州言語文字委員会のモソツホ氏と解読分析作業を継続して進めた。イ族の祭司であるピモが儀礼の際に使用する経典の解題を作成した。 この他に、文書の来歴を考察した。東部方言区と北部方言区の文書は馬学良が収集したもので武定、禄勧や涼山地方北部の文書であることが判明した。また南部方言地区の文書に関しては南開大学の調査によって収集された文書である可能性が高いことが分かった。東南部方言はサメ人の文書であることも判明し、中央研究院が疎開しているときに収集した可能性を指摘した。 これら150点のイ(ロロ)文書の解題は日本語にも翻訳し、解説も加え、『台湾中央研究院傅斯年図書館所蔵彝文(〓〓文)文書解題』として、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所から刊行した。
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