2011 Fiscal Year Annual Research Report
フィンランド語及びバルト海周辺諸言語の項構造の分析に基づく機能主義的モデルの構築
Project/Area Number |
21520435
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐久間 淳一 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (60260585)
|
Keywords | 言語学 / 統語論 / 項構造 / フィンランド語 |
Research Abstract |
本研究の目的は、フィンランド語動詞の項構造(argument structure)を記述し、項の増減を伴う統語現象に着目して、動詞の項構造の統語的な実現過程(syntacticrealization)を考察することにより、機能主義的な立場から項構造の統語的な実現過程に関する一般的な説明モデルを提案することにある。そのためには、研究代表者がこれまで行ってきたフィンランド語に関する研究成果を踏まえながらも、他の言語の同様の事象に学ぶことも欠かせない。 そこで、本年度は、(1)各言語の動詞項構造に関わる現象を学びあう場として、20年度に発足させた「動詞項構造研究会」を二度にわたって開催し、一回目10月8日)には、塩原朝子(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授)、小野智香子(千葉大学大学院人文社会科学研究科特任研究員)、児島康宏(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所特別研究員)の三名が、二回目(3月2日)には、本研究の研究協力者である櫻井映子(東京外国語大学非常勤講師)の他、加藤昌彦(大阪大学外国語学部准教授)、月田尚美(愛知県立大学外国語学部教授)の三名が講演および研究報告を行い、他の出席者も交えて討論を行った。(2)来年度秋に開催予定の日本言語学会において、動詞項構造に関するワークショップを開催するため、研究協力者の櫻井映子および入江浩司・金沢大学人間社会環境研究科准教授両名と研究打ち合わせを行った。(3)ヘルシンキ大学人文学部およびミュンヘン大学言語文化学部において、フィンランド語およびバルト海周辺諸言語に関する資料の収集と研究打ち合わせを行った。(4)フィンランド語の項構造にかかわる格、特に分格と出格に関する今年度の研究成果を'Objecthood of the Elative Argument of the Finnish Language'と題した論文にまとめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動詞項構造に関する研究会は、毎年度順調に回を重ね、動詞項構造に関する研究者間のネットワークが形成されつつあり、また、本研究最終年度である次年度に向けて、本研究の成果を発表する場として、日本言語学会におけるワークショップ開催に向けた準備も、概ね順調に進んでいるから。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究の最終年度に当たるが、今年度に引き続き、動詞項構造研究会を開催するとともに、本研究の成果を発表すべく、11月に開催予定の日本言語学会でワークショップを開催するため、研究協力者の櫻井映子・東京外国語大学非常勤講師および入江浩司・金沢大学人間社会環境研究科准教授の両名と、引き続き準備を進める。また、4月には、ドイツ・フライブルクで開催されるInternational Conference of Nordic and Germanic Linguisticsにおいて、'Objecthood of Elative Arguments of the Finnish Language'と題する研究発表を行う。
|
Research Products
(1 results)