2011 Fiscal Year Annual Research Report
ルカイ語と関連諸語のフォーカス体系に関する実証的研究
Project/Area Number |
21520439
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片桐 真澄 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (80294388)
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Keywords | 言語学 / 外国語 |
Research Abstract |
研究最終年度となる平成23年度においては、ルカイ語およびその関連諸語のフォーカス体系について、得られた口述資料や文献資料をまとめ、問題点を抽出した上で現地での検証を行った。その上で、これらの諸言語のフォーカス体系について統一的に捉えるしくみについて考察を行った。具体的な研究実績は、以下の通りである。 (1)現地調査によるルカイ語と関連諸語の資料の収集とその検証 ルカイ語と他の台湾原住民諸語との差異をより明確にすべく、ルカイ語およびルカイ語と地理的に近いパイワン語のフォーカス体系に関して、現地調査による調査と調査結果の検証を行った。母語話者であるインフォーマントの協力のもと、質問調査および自然発話の口述資料の収集とその検証を行った。その結果、ルカイ語には、パイワン語や他の台湾原住民諸語に顕著ないわゆるフィリピン・タイプのフォーカス体系は観察されず、対格型言語における受動と能動のような態の区別に類似する体系が見られた。このことは、系統的にも地理的にも近いルカイ語とパイワン語の対照性を示す上で、有意義な結果と言える。 (2)インドネシア諸語など関連諸語の文献資料の収集とその検証 ルカイ語と同じく、限定的なフォーカス体系を持つと見られるインドネシアのバリ語のフォーカス体系について、文献資料の収集と検証を行った。その結果、フィリピン・タイプのフォーカス体系があまり観察されない点ではルカイ語と類似しているが、フィリピン・タイプの縮小形と捉えられることがわかった(3)ルカイ語と関連諸語のフォーカス体系に関する統一的な仕組みの考察 上記の結果から、フィリピン・タイプのフォーカス体系を連続体として捉えることにより、ルカ囲碁と関連諸語のフォーカス体系を統一的に捉えることができることがわかった。
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