2009 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語・英語の無冠詞名詞の統語論的・意味論的対照研究
Project/Area Number |
21520441
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 光演 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 教授 (90182790)
|
Keywords | ドイツ語 / 英語 / 名詞 / 対照研究 / 冠詞 / 無冠詞 / 統語論 / 意味論 |
Research Abstract |
(1) ドイツ語・英語に現れる単数可算名詞の無冠詞用法の統語的・意味的特性はいかなるもので,両言語間にいかなる相違があるか?これについて主に,"dog and cat"のような並列単数無冠詞名詞と,be動詞/sein動詞で結ばれるコピュラ文の述語名詞を手がかりに,英語とドイツ語の先行研究を分析し,先行研究の成果と問題点を整理した。また,コーパスやWeb上のデータ等を利用して,無冠詞可算名詞に関するドイツ語のデータを収集し,整理分類した。 (2) Heycock and Zamparelli (2003)の分析では,英語の無冠詞並列句は定名詞句であるとされるが,"I have known more men destroyed by the desire to have [wife and child]."のような不定解釈の例も見られる。このことから,むしろ無冠詞並列名詞句は,[+division, +plural](分割可能,複数性)特性を持ち,物質名詞や複数名詞と同様に項の特性を与えられること,それゆえに定・不定・総称の解釈をもつこと,無冠詞並列句は一定条件において冠詞用法よりも経済的で,最適な表示をもつことを明らかにし,これを論文「ドイツ語・英語の無冠詞並列名詞句について」としてまとめた。 (3) ドイツ語統語論・意味論について,国内外で研究を進めている研究者と,名詞の無冠詞形が現れる条件について意見交流を行った。特に,"Hans ist Komponist."(ハンスは作曲家だ)のようなコピュラ文における無冠詞の述語名詞句の意味特性(職業・国籍などの所属の絶対的尺度によるリスト化)によるゼロ冠詞について検討し,その成果を日本独文学会中国四国支部研究発表会等で口頭発表した。
|
Research Products
(5 results)