2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者のメンタルレキシコン:意味的クラスタリング構造の解明
Project/Area Number |
21520444
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
折田 充 熊本大学, 大学教育機能開発総合研究センター, 教授 (60270386)
|
Keywords | 心内辞書 / 語彙ネットワーク / クラスタリング構造 / 単語仕分け課題 / 動詞 / 形容詞 / 名詞 / 習熟度 |
Research Abstract |
初年度に引き続き,単語仕分け課題(word sorting tasks)を用いて英語母語話者と第二言語話者(日本人英語話者)の心内辞書内の意味的クラスタリング構造における異同の解明に取り組んだ。 まず,高頻度の英単語に関して,母語と第二言語の心内辞書のクラスタリング構造の違いとなり得る語類は名詞であることが判明した。名詞については,クラスター数,クラスターサイズおよび個人デンドログラムのばらつき度のすべての変数において両群間で有意な差異が検出された。なお,形容詞と動詞に関して,群デンドログラム距離行列に対する並べ替え検定結果において両群間に有意な差異が検出され,両語類についても潜在的な差異が存在すると推定され,実験に用いる単語の頻度水準などを変えてさらに研究する必要がある。 単語仕分け課題の終了時間に関して,両群間で有意な差異は検出されなかった。しかし,形容詞仕分け課題については,両群ともに名詞や動詞を用いた課題よりも有意に終了時間が長かった。実験終了後の被験者への開き取りから,英語形容詞においては反意語や同意語がその基本的な関係性であることの影響が大きく,これらの関係性が実験に用いた形容詞に存在しない時には被験者はそれを無意識のうちに探そうとしていたことが明らかとなった。母語話者,上級レベルおよび中級レベルの日本人英語話者の3群間の群デンドログラムの比較解析から,群としての意味的クラスタリング構造は3群間で明確に異なり,母語と第二言語においてのみでなく,後者においては被験者の習熟度もまた心内辞書構造の違いに関係していることが解明できた。 また,日英語の心内辞書構造の差異の解明を目指した同様のデザインによる実験を実施した。データ解析は,これまで実施した実験結果との比較と併せて,来年度(研究最終年)度に行うこととする。
|
Research Products
(5 results)