2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代中国における満洲族・錫伯族の言語と民族意識に関する実証的研究
Project/Area Number |
21520445
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山崎 雅人 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00241498)
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Keywords | 満州語文学 / 錫伯語 / 危機言語 / 民族教育 |
Research Abstract |
本計画最終年度は、三年間の中国実地調査において、一昨年、昨年に引き続き吉林省伊通満族自治県を訪問し、現地での満洲語教育の拠点である伊通進修学校での教育状況を調査することから始め、その後昨年の調査に引き続いて、北京の中国社会科学院民族学研究所図書館で『満洲繙論』の電子資料化を行った。また、今回初めて新彊ウイグル自治区に行き、錫伯語の使用状況を知ることができた。すなわち、同地の錫伯族初等教育の拠点である、チャプチャル錫伯自治県の第一小学において目下の教育状況について聞き、現行の使用テキストを入手した。これにより、初年度に遼寧省新賓満族自治県永陵小学で得た満洲語テキストと、昨年吉林省長春市の東北師範大学で得たテキストと、さらに今回同じく長春市の長春師範学院で得た、遼寧省本渓満族自治県で使用されるテキストとの比較を行い、現代満洲語および錫伯語教育がいかなる民族意識のもとで行われることを理解するための資料蒐集を終え、それらを分析する基盤が整えられたと考える。その分析の一端が、「現代中国における満洲族と錫伯族の言語と民族意識について(1)-初等教育における語学教材とインターネット上のサイトの比較から-」であり、今後続編を執筆する計画である。 なお、三年間の中国での実地調査の概要については、2012年1月29日に多言語社会研究会にて「近年における中国東北部の満洲語教育と新彊錫伯族の双語教育」の題目で研究発表を行い、中国人研究者を含む社会言語学の研究者を交えた研究討論を経て、思索を深めることができた。
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Research Products
(2 results)