2011 Fiscal Year Annual Research Report
インターネット上の日本語及びその話者の言語行動に関する社会言語学的日英共同研究
Project/Area Number |
21520448
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Research Institution | Toyo Gakuen University |
Principal Investigator |
西村 由起子 東洋学園大学, 人文学部, 教授 (70198513)
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Keywords | 社会言語学 / コーパス言語学 / コンピュータコミュニケーション(CMC) / バリエーション / ケータイ小説 / 言語イデオロギー / 誤変換 / ユーモア |
Research Abstract |
本研究はインターネット上の日本語を分析対象とし、(1)マクロの視点からの定量的分析で今日のオンライン日本語の特徴を書き言葉・話し言葉との対比で捉え、(2)ミクロの視点からの質的分析として、コンピュータコミュニケーション(以後CMCと略す)に焦点を置き、オンライン日本語使用者の対人言語行動を質的な分析で明らかにすることを目的としている。 平成23年度に実施した研究成果として、(1)の分野に関して、日本語CMCの複数のジャンルを、2種類の話し言葉、4種類の書き言葉と比較し、話し言葉からCMCを経て書き言葉へ連続体をなすことを示し、ベルギーにおける国際学会でその結果を報告した。話し言葉においてインタビューデータの追加により、インタビューと日常会話に差が見いだされ、その差は、CMC言語においてもみられた対人距離の取り方における差と同様に、各メディア内にもバリエーションが存在することも確認された。また書き言葉(印刷メデイア)とCMCとメディアは異なっていても、「小説」としての共通性が助動詞分布に見られ、ジャンル特性がメディアの違いより大きく言語使用に影響している現象も明らかにした。(2)に関しては、オンライン日本語使用者の言語行動として、ケータイ小説を巡る現象を言語イデオロギーの視点から論じ、この論文が英語圏読者対象に発表され、日本語CMCからニューメディア社会言語学の発展に寄与している。この分野の日本語CMCに関して、日本国内の一般市民に対する発信も行い、研究成果の社会的還元にも努めた。また日本語CMCにおいて特有と思われる誤変換現象は、アイルランド、イギリスでの学会で,日本語を解さない英国をはじめ海外のユーモア研究者との意見・情報交換を経て、日本文化に根ざした洒落、駄洒落や言葉遊びに関する論考を深め、英語圏への発信を続けることが課題となる事が明らかになった。
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