Research Abstract |
非人称構文に関して,研究代表者の小川が天候述語・気候述語の類型と機能,研究分担者の田中が心理表現・感覚表現とダイクシス性,藤縄が非人称性とアスペクトおよび補文化の関連を重点的に担当した。新たに刊行されたドイツ語学・言語類型論関連図書に配慮し,また当該事例のコーパスに基づくデータ収集を進めるなか,非人称構文の成否を司る要因を日独語対照ならびに類型論の観点から考察を重ねた。その成果は,それぞれ日本における関係学会の他,ドイツおよびポーランドにて開催された国際学会・国際集会で報告し,ドイツ語学また言語類型論を専門とする国内外諸氏と討論・意見交換を行った。日本独文学会主催「第31回語学ゼミナール」,京都大学,ベルリン・フンボルト大学,ミュンヘン大学,ワルシャワ大学,ジェローナ・グラ大学(ポーランド)などが報告の場となった。とりわけ,「第12回国際ゲルマニスト会議」(ワルシャワ大学)にて小川が議長を務める分科会「Beschreibende deutsche Grammatik記述的ドイツ文法」で三者が成果を発表し,Josef Darski教授,Joe Askedal教授,Ludwig Eichinger教授,Heinz Vater教授,Heide Wegener教授など一流の研究者と実質的な議論・意見交換が展開された。当会議での報告は言語学専門出版社であるドイツPeter Lang社から近く刊行される予定である。また,「第31回語学ゼミナール」(委員長:田中慎,於:葉山・生産性国際交流センター)おいても三者が集い,招待講師のベルリン・フンボルト大学のKarin Donhauser教授をはじめ専門家諸氏と凝縮的な議論・意見交換を行った。以上を通じて,最終年度(平成22年度)の総合的な成果報告へ向けての基礎が強固にされ,発展形が整った。
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