2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520457
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
中野 陽子 Kwansei Gakuin University, 人間福祉学部, 准教授 (20380298)
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Keywords | 日本語 / ワーキングメモリ / 習熟度 / 英語 |
Research Abstract |
本年度は、実験設備の設置や予備実験を行い、第一言語(L1)としての日本語について本実験を行った。L1の日本語のかき混ぜ構文(フィラー・ギャップ構文)で、かき混ぜ詞のギャップの位置について再解析が必要な文と再解釈が必要ではない文を実験材料として交互様相語彙性判断課題におけるプライミング効果と被験者のワーキング・メモリー(WM)との関係について統計的分析を行った。その結果、プライミング効果にWMの容量の違いが影響していることが示唆された。この結果から、かき混ぜ構文の処理ではかき混ぜ詞が構造の曖昧さやワーキングメモリ容量と折り合いつつ、活性化されたりその活性化が抑えられたりしながら動詞の項構造に取り込まれ、ヘッド(動詞)と依存関係を成立させていくことが示唆された。母語話者の文処理についての先行研究では、フィラー・ギャップ構文におけるギャップの位置を同定するため構造体の分析や構築がされるが第二言語の学習にとっては複雑な構造体を作ることは難しいとされている。母語話者が本研究で用いた実験文でギャップ位置を同定することができたが、第二言語学習者ではどのように変化するのか更に検討を進めていく予定である。本年度はまた第二言語学習者用のリーディング・スパン・テストと第二言語学習者の習熟度を測るテストについて先行研究を検討し両方のテストを作成した。研究成果の一部は国内の研究会等で報告された。
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