2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520457
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
中野 陽子 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (20380298)
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Keywords | 関係節 / 第二言語習得 / 文処理 / 習熟度 / 英語 / 日本語 / 心理言語学 / 視線計測 |
Research Abstract |
平成23年度もワーキング・メモリ(WM)容量や習熟度が異なる日本人英語学習者と英語母語話者が関係節付加曖昧構文を処理する際に見られる傾向について前年度に引き続き眼球運動の計測を行った。その結果、WM容量が多くなると高位接続が多くなる傾向がみられた。また英語母語話者は関係節を読んでも接続位置をすぐに決定しなかったが、日本人英語学習者の上位群はすぐに選択する傾向が見られた。下位群では接続位置を決定するような明確な結果は得られなかった。WM容量の違いは被験者全体に影響を与えているが、習熟度による違いは被験者の文処理上の方略の違いを表している可能性がある。このような結果は外国語教育に役立つことが考えられる。 日本人英語学習者が構造的曖昧性のある文をどのように処理するかについて更に調査を進めるため、意味的に曖昧な文、統語的に曖昧な文、意味と統語の両方で曖昧な文の3種類を作成した。その上で曖昧性を解消するような意味情報のある先行文脈を付け、文脈情報が各文の曖昧性解消にどのような影響を与えるかを難易度判断課題と翻訳課題で調査し、分析結果をまとめた。文脈内の意味情報は難易度判断課題では判断を容易にしたが、翻訳課題では正答率が下がった。このような結果は課題のモダリティの違い(理解と生産)のためであることが考えられる。 更に日本語についての調査も行った。意味情報だけではなく音韻情報の影響について日本人母語話者とトルコ人日本語学習者を被験者に調査を行ったところ、音韻情報も影響を与えている結果が得られた。異なる言語において意味や音韻の情報が統語処理に影響を与える結果が得られたことは、結果を一般化する上で重要である。 また英語と日本語のフィラー・ギャップ構文について交互様相語彙性判断課題と事象関連電位を指標とした実験を行った。今後、更にデータを収集し分析を進める予定である。 上記の結果の一部は国際学会や国内の学会や研究会で発表された。これから発表予定のものもある。
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