2009 Fiscal Year Annual Research Report
遅延聴覚フィードバックにおける個人差をもちいた発話の脳内処理の解明
Project/Area Number |
21520464
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
能田 由紀子 Advanced Telecommunications Research Institute International, メディア情報科学研究所, 研究員 (60374104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 信夫 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, メディア情報科学研究所, 主幹研究員 (40181630)
一ノ瀬 裕 九州産業大学, 情報科学部, 教授 (20352106)
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Keywords | 遅延聴覚フィードバック / fMRI / 脳活動計測 / 調音運動 |
Research Abstract |
本研究は自己の発話を遅らせて話者に聞かせる遅延聴覚フィードバック(Delayed Auditory feedback, DAF)の影響が課題や被験者によってどのように変わるのかを調べ、DAF条件下での発話時の脳活動を計測することで発話とフィードバックのメカニズムを調べることを目的とする。 本年度はまず、異なる発話課題でのDAFの影響の差を調べた。調音運動の難易度に違いのある有意味語文2種と無意味語文の発話をDAF条件下で行うと、先行研究と同じく、調音の難しい有意味文を発話する方がDAFの影響が大きい傾向があることが確認されたが、さらに調音の難しい無意味語の発話においては、有意味語の発話時よりもDAFの影響を受けないことが判明した。これまでは調音運動が難しい発話では影響が大きくなるとされていたが、今回の結果から無意味語で影響が小さかったことから、調音運動と聴覚フィードバックの情報の単純なずれから発話への影響が生じるわけではないことが示唆された。韻律・意味などのモニターが影響する可能性、あるいは話速の違いが影響を与えている可能性がある。 また、DAF条件下での発話時の脳活動を計測するために、MRI装置内においてDAF条件を実現するための機材・撮像プログラムの設定等を行った。MRI撮像時には撮像騒音が発生するため、通常のフィードバックシステムでは騒音までフィードバックされて、被験者自身の音声の聴取が困難になる。そこで発話時を避けて撮像し、撮像時にはフィードバックを行わないようなシステムを構築した。本年度は予備実験としてDAFの影響を受けやすい被験者と受けにくい被験者のそれぞれ一人ずつの有意味語と無意味語の発話時の脳活動を計測した。その結果、DAF条件下では通常のフィードバック条件下に比べて右の上側頭回の活動が高くなるが、影響を受けやすい被験者の方が上側頭回の活動領域が広かった。また左の側頭葉の活動には変化がなかった。有意味語の発話時では無意味語発話と比較して左右の側頭葉に活動が検出されたが左の方が活動が高かった。
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