2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520467
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 美知子 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特任研究員 (60470027)
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Keywords | 言い淀み / フィラー / コーパス / 日英語 / 対照研究 |
Research Abstract |
本プロジェクトでは,複数の話し言葉コーパスを用いて日本語と英語における言い淀みの対照研究を行うことによって,発話生成プロセスの言語普遍性と個別性を明らかにすることを目的としている。本年度は,日本語に関しては,談話の切れ目の深さや後続節の複雑さと,節頭の接続詞・助詞の引き延ばしやフィラーの持続時間との関連を『日本語話しことばコーパス』を用いて調べた。フィラーの持続時間は,談話の切れ目が深く後続節が複雑なほど,長い傾向のあることが明らかになった。また,副助詞「は」の持続時間にも後続節の複雑さとの相関があった。発話プラニングの認知的負荷が節境界のフィラーの出現率に影響することは知られていたが,これらの発見によって,フィラーや副助詞の持続時間にも影響することが示唆された。これらの結果の一部を,2010年9月に開かれたThe 5th Workshop on Disfluency in Spontaneous Speech (DiSS-LPSS Joint Workshop 2010)で口頭発表した。このワークショップではプログラム委員を務め,開催運営も中心となって担い,国際的な言い淀み研究の交流・進展に貢献した。英語の言い淀みに関しては,既存のコーパスに言語情報を付加し,対照研究のできるようなコーパスを作成することを試みていたが,書き起こしの精度や日本語コーパスとの対称性に問題があるため,対照研究が容易にできるような言語データを新たに収集することにした。現在,日本語のデータと内容・構成を統一したインタビューデータの収集を日米で行なっている。これと並行して,これまでよりも精緻な言い淀みの分類法を検討している。また,研究目的に沿った英語形態素解析システムの構築を進めている。
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Research Products
(2 results)