2013 Fiscal Year Annual Research Report
平安・鎌倉時代の真言・陀羅尼資料に見える連音変化現象の研究
Project/Area Number |
21520468
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
肥爪 周二 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (70255032)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 音便 / 連声 / 悉曇学 |
Research Abstract |
京都東寺金剛蔵・滋賀石山寺をはじめとする近畿地方の社寺における調査。東寺については、8月26日(月)から28日(水)までの三日間、石山寺については、7月27日(土)から29日(月)、12月25日(水)から27日(金)の各三日間、調査を行った。勤務先の東京大学以外では、国立国会図書館、都立中央図書館、山梨県立博物館などで調査を行った。今年度調査した主要な資料としては、『不動儀軌』万寿二年写本・『大毘盧遮那経疏』巻第二延久二年点(以上東寺)、『成唯識論』寛仁四年点(石山寺)、山県大弐『華曇文字攷(悉曇文字攷)』(山梨県立博物館)がある。 研究成果の一部を、10月20日(日)に訓点語学会研究発表会「Φ音便について」、10月26日(土)の日本語学会シンポジウムにて「拗音をめぐる二つの物語」として発表をした。その内容を、それぞれ論文として公表した(13 研究発表参照)。特に「Φ音便」は、築島裕氏によって提唱されて以来、証拠が不十分であったためもあって、長らく埋没していた学説であったが、『不動儀軌』万寿二年写本において、ハ行四段動詞・補助動詞の音便形が仮名「ム」により表記されている例が、撥音便とも、通常の促音便とも解しがたいことを指摘し、音価無指定の量的撥音便・促音便が符号「ン」を表記に共有するのと対応して、m音便とΦ音便とが、唇音に固定した撥音・促音として、仮名「ム」を表記に共有している可能性を指摘した点が、今年度の大きな成果であった。 真言・陀羅尼加点資料の整理・分析は、前年度までの作業を継続し、データの集積に努めたが、残念ながら、前年度までの調査の知見を刷新するような新しい発見はなかった。悉曇学書に見られる連声学説との対照も引き続き行なったが、理論と実践との乖離を、あらためて確認することになった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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