2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520479
|
Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
北原 博雄 聖徳大学, 人文学部, 准教授 (00337776)
|
Keywords | スケール構造 / 形容詞 / 動詞 / アスペクト / 後置詞(句) |
Research Abstract |
事象(event)の内的構造を明らかにするアスペクト研究は、これまで動詞の意味構造・統語構造に基づいて説明されてきた。たとえば、「太郎が走る」は非限界的(atelic)だが、「太郎が駅まで走る」は限界的(telic)でもあるという事実は、非限界的な動詞である「走る」が、「駅まで」のような「まで」句を伴うと限界的にも使えるというように、動詞の性質に基づいて説明されてきた。しかし、このような現象は、「まで」句のような後置詞句の側から説明するべきだという考え方が、近年、主に英語研究の中で出てきた。本研究は、状態変化事象、位置変化事象に関わるアスペクト現象を、他の言語と比較・対照しながら、後置詞句のスケール構造(scalar structure)から説明することを目的とする。 本年度は、この何年間か研究を続けている、程度修飾のメカニズムの解明をめざした。程度副詞は、被修飾句が持つスケール構造の種類によって分けることができる。まずは、形容詞、形容動詞(、名詞)のどのようなクラスを修飾できるかという点から、程度副詞は大きく二分でき、それぞれのグループでまた二分されることを明らかにした。これは、被修飾句である形容詞、形容動詞(、名詞)のスケール構造に基づく分類である。しかし、この分類にも例外があるが、それはどうも体系的な例外を成しているようであり、認識的(epistemic)なスケールとでも言うべき点で説明できるものである。形容詞、形容動詞(、名詞)は、統語構造、あるいは、語彙概念構造のような意味構造でrootを成すものである。したがって、それらの品詞の程度修飾の可否は、動詞の(状態)程度修飾の可否を説明する可能性が十分にある。
|