2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520485
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上野 和昭 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10168643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 清恵 日本女子大学, 文学部, 教授 (50169588)
佐藤 栄作 愛媛大学, 教育学部, 教授 (80211275)
鈴木 豊 文京学院大学, 外国語学部, 教授 (70216456)
加藤 大鶴 東北文教大学, 短期大学部, 准教授 (20318728)
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Keywords | 語構成 / 音節構造 / 字音声調 / 漢音 / 呉音 |
Research Abstract |
最終年度は、古代から現代にわたる14種類の文献から収集してきた漢語アクセントデータを整理し、検索用の推定語形などを加えて分析に耐えうる形にまとめ、データベースをほぼ完成させた(担当文献は次の通り;上野和昭は名目抄・平家正節・補忘記元禄版、坂本清恵は古今和歌集声点本・近松浄瑠璃本、佐藤栄作は京阪系アクセント方言資料、加藤大鶴は稲名類聚抄諸本・類聚名義抄諸本・将門記諸本・元禄版四座講式(涅槃講式)、尾張国解文諸本、宝物集諸本、平家物語諸本。前田本色葉字類抄は上野・坂本・佐藤・鈴木・加藤の全員で分担担当した)。 加藤大鶴はこのデータベースを利用することで、和漢混淆文や和化漢文のような従来は字音研究の立場からは規範性が低いと見られていた資料が、いわゆるアクセントの体系変化以後の資料と比較することで、漢語アクセント研究の俎上に乗る可能性があることを指摘した。この他、漢語アクセント研究の成果を利用した論考もある。上野和昭は契沖自筆本『和字正濫通妨抄』の読解によって、契沖が定家仮名遣を理解する上で四声における軽重と「音の軽重」との関係において、アクセント仮名遣いの原理を理解していることを明らかにした。また坂本清恵は「源氏物語」の注釈、「仙源抄」、「河海抄」「紫明抄」の声点調査を通じ、長慶天皇の差声法には、自らのアクセントを差したものと、出典があつて移声したものがあることは分かったが、その判断はむずかしく、注の中には明らかにアクセント体系変化後のアクセントを差したものがみられ、天皇自身の差声と認められる新しい差声法のもあることを考察した。このほか、鈴木豊はライマンの法則と呼ばれる日本語の連濁現象上との特徴から、中国語を話す帰化人が習得した日本語の影響を受けて日本語の「清濁」が生じたのだろうという仮説を提出した。
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Research Products
(4 results)