2009 Fiscal Year Annual Research Report
現代における漢語表記の実態とその背景に関する調査研究
Project/Area Number |
21520486
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
笹原 宏之 Waseda University, 社会科学総合学術院, 教授 (80269505)
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Keywords | 漢字 / メディア / ひらがな / カタカナ / 表記の揺れ / 交ぜ書き / 新聞 |
Research Abstract |
新聞全国紙を対象に、漢話を中心とする語の表記の実態について調査を開始した。記事本体だけでなく、テレビ欄、広告欄などの部分に対しても探索を行った。同時に、他のマスメディアとしてテレビの各種の番組(ニュース、教育、情報、バラエティーなど)やCM等において字幕やフリップなどに現れる漢語などの表記の実情を調査した。さらに、雑誌(月刊誌、週刊誌など)、インターネット上の各種のホームページやプログ、電子メール、手紙などパーソナルメディアに対しても、使用されている漢語等の表記の実情について恒常的な観察、調査を進めた。それらから採取された実例を通して、新聞での使用実態との差異を確認するための検討を加えた。それらに基づき、国語辞書での掲出や注記などとの比較も行った。 そのようにして得られた漢語の表記形の実例を分析し、それぞれの表記上の揺れや違例を生じさせたと見られる要因、たとえば歴代の漢字政策のほか、メディア側の定めた表記規則、筆記機材による物理的な制約条件、表記の産出時における生理的な制約条件、その文字列の状況から見た読み取りやすさ、心理的な表現意図などについて考察を進めた。そうした用例のたぐいに関する分析を通して、漢語の表記、特に非本来的な表記の生み出されるメカニズムとその法則性について検討し、さらに日本語表記としての今後の姿について考察した。これらの研究成果について発表を開始し、次年度以降、さらに成果を公表していく準備を進めている。
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