2011 Fiscal Year Annual Research Report
言語計算機構の不完全性修復システムとしてのインターフェースレベル研究
Project/Area Number |
21520498
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金子 義明 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80161181)
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Keywords | 言語学 / 生成文法 / 極小主義 / 言語計算機構 / 不完全性 |
Research Abstract |
本研究は生成文法ミニマリスト・プログラムを理論的基盤として、インターフェースレベルの操作を言語計算機構C_<HL>の不完全性を修復する機能の観点から考察し、インターフェースレベルの判読可能条件の実証的解明に寄与し、言語機能FLの最適性の性質およびその度合いの解明に寄与することを目標とする。最終年度に当たる平成23年度は、前年度までに整備・拡充された研究基盤を土台とし、理論的基盤研究および個別テーマ研究を深化させるとともに、研究の総括を行い、研究総括の一環として、研究成果を発表する。研究成果の1つとして、金子(2012)「意味解釈規則と不完全性修復メカニズム」では、意味解釈原理として「意味表示が統語表示から得られる情報の合成のみによって得られる場合、その意味表示は無標(unmarked)の意味表示である」とする仮説を提示した。その上で、英語の不定詞節および法助動詞を含む文に生起する完了助動詞haveが生起した場合の時制構造に調整を加える解釈規則、および時の付加詞の解釈規則は、いずれも統語表示から得られる情報だけでは適切な意味表示が得られず、その意味で言語機能の不完全性が現れる場合に発動される規則であり、不完全性修復機能をもつことを明らかにした。また、英文学会のシンポジウムでは、副詞表現や否定表現の認可現象、削除による非音声化現象における機能範疇の統語特性、解釈特性に関わるシンポジウムを企画し、LFインターフェースおよびPFインターフェースにおける機能範疇の統語特性および解釈特性の解明を試みた。さらに、理論的研究成果を英語教育に還元するものとして、金子(2012)「動詞句の存在とその内と外」を発表した。
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Research Products
(4 results)