2011 Fiscal Year Annual Research Report
談話における分裂文の総合的研究-関連性理論、機能文法、認知言語学による考察
Project/Area Number |
21520503
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
加藤 雅啓 上越教育大学, 大学院・学校教育研究科, 教授 (00136623)
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Keywords | 指定文 / 分裂文 / 擬似分裂文 / 「の(だ)」構文 / It is that節構文 / already-learned information / 認知効果 / 処理労力 |
Research Abstract |
本年度は、日本語のハ分裂文、ガ分裂文を取り上げ、[1]文献による理論研究、[2]言語資料の収集、[3]データベース作成の三つの方法によって研究を進めた。さらに、これまでに得られたit分裂文、疑似分裂文の研究成果と本年度に行う日本語の分裂文の研究成果を整理・総括し、本研究の最終的な研究成果を発表した。 関連性理論の観点からは、ハ分裂文、ガ分裂文が談話内で果たす談話機能と関連性理論との関わりを検討した。とくに、談話におけるハ分裂文とガ分裂文と先行文脈との意味的つながり、もたらされる認知効果、及び処理労力との関連性を探る。さらに想定から導かれる論理形式と語用論的推論との関係を明らかにし、ハ分裂文とガ分裂文に関する推論メカニズムを検討した。 また、「有標構文は処理するのに労力がかかり、これに見合う効果を果たさねばならない」という分析と「分裂文の適格性は統語論的制約と語用論的条件に基づいて決定される」という議論を検討し、ハ分裂文とガ分裂文に関する統語論と語用論の棲み分けという観点の可能性を考察した。さらに、文法と談話の多様な関わり合いなかで、'文法による統語的規制に対して、話し手・聞き手・場面という語用論的要因からの要請がどのように関わっているか、いわば文法と談話の接点について検討した。 認知言語学の観点からは、メトニミーリンクによる語義の拡張、パートニミー・トポニミーとハ分裂文とガ分裂文の関係を詳細に検討し、メトニミー的認知プロセス、及びメトニミー的推論の観点から、ハ分裂文とガ分裂文に関わる認知言語学における推論メカニズムを考察した。 機能文法の観点からは、ハ分裂文とガ分裂文のような有標構文がもたらす談話機能のうち、砂川(2005)が主張する焦点提示機能と特立提示機能について詳細に検討した。 これらの分析結果を総合的に検討したうえで、大竹(2009)で詳述されている日本語の「の(だ)」構文と英語のIt is that節構文が持つ談話機能の本質的な特性とその存在意義について、語用論の枠組みから検討した。これらの成果は日本英語学会、日本プラグマティックス学会等の学会誌、及び上越教育大学紀要に発表した。
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Research Products
(3 results)