2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520504
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中安 美奈子 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 准教授 (80217926)
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Keywords | 時制 / 歴史語用論 / 中英語 / 初期近代英語 |
Research Abstract |
本研究の目的は、語用論的な観点から時制の中英語から初期近代英語への発達を分析することである。時制には言語使用者や文脈等の要因が密接に関わっているにもかかわらず、歴史的なデータにおいては、語用論的な分析はこれまで殆どなされてこなかった。本研究においては、言語行為等のミクロなレベルに留まらず、会話や談話等のマクロなレベルに踏み込んだ検討を行い、時制の意味や機能が歴史的にどのように発達してきたのかを体系的に分析している。 本年度は、これまでの研究との連続性という観点から、初期近代英語の時制に関する分析を行い、通時的な分析のための土台を形成することを試みた。時制や歴史語用論に関する文献を調査・検討することにより、文献リストを作成し、基本概念や方法論等も含めて明らかにすべき問題点を確認した。歴史的データの語用論的分析を行う際には、「形式-機能の対応づけ」、「機能-形式の対応づけ」という2つの方向からの対応づけがある。時制は必ずしも特定の形式に依存しないことから、後者の対応づけにも重点を置き、コーパスの範囲を絞って詳細な分析を試みた。シェイクスピアをコーパスとして、特に非過去時制と考えられる例に関して、言語行為、ポライトネス、談話に関する分析を行った。 来年度については、これまでの研究結果を踏まえ、初期近代英語の時制に関する分析を精密化し、中英語の時制に関する試験的な分析を行い、通時的な発達を明らかにしていく予定である。
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