2010 Fiscal Year Annual Research Report
統語論におけるコピー理論へのトップダウン式接近法に関する研究
Project/Area Number |
21520508
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
寺田 寛 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (90263805)
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Keywords | 言語学 / 英語 / 生成文法 / 再構築 / トップダウン派生 |
Research Abstract |
「内容」 人間の言語現象の一つである移動現象には、A移動(受身など)と非A移動(疑問詞移動)があり、移動の起こる前の位置で解釈されるような現象を再構築現象と呼んでいる。A移動を22年度も引き続き取り上げ、非A移動についても研究を進めた。 A移動を中心にして、非A移動を含む、束縛条件(A)と(C)に関わる再構築現象をより詳細に検討した。トップダウン式の再構築理論やさらにその理論の発展形である併合に基づく構造構築理論を提案してきた自身の研究をもとにして、これまでの束縛条件についての捉え方を考え直し、新たな方向を模索した。また、言語獲得について研究データの範囲を広けるための試みを始めた。 「意義」 A移動の束縛条件(A)と(C)の再構築現象についてのトップダウン式の構造構築から考察された試みは今までの先行研究の中ではされていなかった。条件(B)については今後の課題として取り上げることができなかったが、束縛条件の中で頻繁に取り上げられる条件(A)と(C)については、トップダウン式の接近法が有効であることも分かり、問題点も発見できた。また、再構築現象についての第二言語獲得からの研究もこれまで国内ではほとんど行われていなかったが、このような研究に着手し、論文をまとめるための準備を進めた。2年めとなる平成22年度は再構築理論の研究をさらに進めたので、残りの2年間の研究についての方向性がより明確になった。
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