2011 Fiscal Year Annual Research Report
統語論におけるコピー理論へのトップダウン式接近法に関する研究
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21520508
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
寺田 寛 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (90263805)
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Keywords | 言語学 / 英語 / 生成方法 / 再構築 / トップダウン派生 |
Research Abstract |
[内容] 人間の言語現象の一つである移動現象には、A移動(受身など)と非A移動(疑問詞移動)があり、移動の起こる前の位置で解釈されるような現象を再構築現象と呼んでいる。22年度までに行ったA移動の研究から、23年度では非A移動についても研究を進めた。主に、束縛条件(C)に関わる非A移動を中心とする再構築現象をより詳細に検討した。 英語を第2言語として獲得している現職の英語教員および、英語を専攻する現役大学生に、アンケート調査を行い、自身の研究を第一及び第二言語獲得の事実とも整合性が取れるような形で発展させた。これをもとにして、これまでの再構築に課せられるとされてきた優位性条件を廃止する方法を考え、これまでの自信の再構築と構造構築のトップダウン式接近法をさらに精緻化させた。 [意義] 束縛条件の再構築現象について日本人の英語教師および大学生がどれほど母語話者と類似しているか、あるいは、異なっているかについて、これまで十分な研究がなされてい塗かった。そのようなデータを得ることには学問的な意義があり、日本人英語学習者がどのような知識をもっているかについての今後の研究の基礎になると思われる。そのようなデータをもとにして、トップダウン式の構造構築から考察された試みは今までの先行研究の中ではなされていなかった。トップダウン式の接近法が有効であることも分かり、問題点も発見できた。3年めとなる平成23年度は再構築理論の研究をさらに進めたので、残り1年間の研究についての方向性がより明確になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
言語獲得のデータ収集とその分析に多くの時間を費やし、言語獲得から得られる新たな知見は日本の英語教育にも有意義であると思われるので、研究を進める上では概ね順調に理論を組み立てて検証することができたと感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き言語獲得からのデータ収集と方法改善と検証を押し進め、同時に、幅広い言語の事実についての考察にまで研究を進めることをさらなる課題としたい。
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