2011 Fiscal Year Annual Research Report
認知言語学から見た英語の-ing形に関する通時的・共時的研究
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21520510
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
後藤 万里子 九州工業大学, 大学院・情報工学研究院, 准教授 (20189773)
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Keywords | Middle Welsh Verbal Noun / the Middle English V-ing form / the PDE progressive / the 18th-19th Century Grammar Writing / aspectual restriction on the PDE progressive / Cognitive Grammar / Historical Linguistics |
Research Abstract |
本年度はMiddle Welsh Verbal Nounと中英語V-ing formとの統語的・意味的・機能的・語用論的・社会言語学的驚くべき類似性をMiddle Welsh Prose及び中英語の具体例に当たって追求し、現代標準英語進行形の、LangackerのCGで言うimperfective verbをoutにするaspectualな制限は、18世紀から急激に盛んとなった英国のGrammar Writingが頂点に達した後、19世紀後半に突如現れた人工的なものである可能性を発見した。19世紀前半迄も進行形は、進行中の動作を表すことは多かったものの、単純形と意味的にはほぼ同じで、違いは主にregisterにあり、且つ、現在でも英国及び米国の方言では、Insular Celtic VN構文と同じく上記のようなaspectualな制限はない。 近代英語協会第28回大会、20th International Conference on Historical Linguistics(ICHLXX)、英語史研究会第21回大会、University of Texas, San Antonio(UTSA)Brown-bag meetingで発表し、それぞれの学会で、国内外、特に欧州・米国の多くの研究者との意見交換の機会を得て貴重なコメント・質問を受け、UTSAの多様な研究者やからのより広い視野からの視点で自らの論の方向性の正当性を改めて再確認し情報・資料を収集できた。特にUTSA英語学科の歴史言語学者Drinka教授には、学科長職務の傍ら本の執筆という超過密scheduleの合間の2週間を全て筆者との意見交換・アドバイス・参考資料の提供に費やして頂き、本研究も最終年度となる24年度へ向けて前進した。 また、4~5月段階までの本研究をr『ことばとこころの探求』に、12月までの段階を本学紀要に纏め、書評執筆を通して、構文認知モデルを再確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現代ゲルマン系諸言語の中で、何故、英語にだけ進行形が、単純形と並んで最も基本的な構文として存在ししかも発達し続けているのか、何故、そのbe+V-ingからなる進行形構文のV-ingのVにだけ、現在分詞のV-ingにはないaspectualな制限が存在するのか(即ちLangackerの認知文法の枠組みにおけるperfectiveしか受け入れられない制限)という、本研究の出発点である疑問への解答へ、Middle Welshの文法や用例、中英語の口語の例、そして様々な方言には制限はないことや、進行の意味を表すには、古英語期から19世紀迄のformalwriting、及び英語以外の全てのゲルマン諸言語では古より現在迄、単純形が使われていたことを確認し、当初計画より広範囲な領域へ進み、歴史認知言語学的視点の提唱を必要とするため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、19世紀の文法家達の文法記述を更に詳細に調べ、より多くのMiddle Welsh Verbal Noun、及び口語中英語の実例に当たり、現在確信に近づいている、進行形及び進行形の制限の由来説明をよりconvincingなものとするための方策に着手する。
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Research Products
(7 results)