2010 Fiscal Year Annual Research Report
英語の項構造の変化のメカニズム:非人称構文の衰退と統語的受動態構文の創出
Project/Area Number |
21520516
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
大澤 ふよう 法政大学, 文学部, 教授 (10194127)
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Keywords | 非人称構文 / 受動態構文 / 項構造 / 機能範疇 / 語彙・意味志向型 |
Research Abstract |
本年度は、間接目的語を主語にした受動態文や前置詞受け身は古英語には存在せず、機能範疇TPの出現により可能になったことをSyntactic Passive:Its Rise and Growth in the history of Englishという論・文にまとめ出版した。また主格付与の問題と、目的格付与の問題を統一的に取り上げて主格付与が創発したTPによって、統語的になされるようになったことと同じように目的語に与えられる格の付与も、統語的になされるようになり、その役割を果たす機能範疇の創発についてThe Loss of Lexical Case in the History of English:What is behind"Transitivation"?というタイトルで 第16回lntenational Conference on English Historical Linguisticsで発表した。また「他動詞化」と称される現象は、動詞の持つ意味とは切り離されて他動詞構文が成立するようになったことによる、つまり項構造の形成の原理が意味から統語的なものに移った点をTransitivisation in the History of Englishという論文にまとめ、出版した。TPに関して関連した研究発表をTense and Aspectというタイトルで研究発表した。さらに関連した格付与の問題などについて11月の日本英語学会第28回大会で「文献学と言語理論の接点を求めて」と言うタイトルのシンポジウムで「英語名詞句の発達」という研究発表を行った。12月には津田塾大学言語文化研究所の研究発表会で、名詞句と格の問題を論じた。 これらの一連の研究活動で格と意味役割の問題に関して、項構造、つまり文型を決定するのは、項の持つ形態格が表す意味役割が重要な働きをしているという、踏み込んだ議論がある程度できたと考えている。また、評価も得られたと考えている。
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Research Products
(6 results)