2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520531
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小川 誉子美 横浜国立大学, 留学生センター, 教授 (50251773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河路 由佳 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (00272641)
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Keywords | 日本語教育史 / テキスト / 日本語講座 |
Research Abstract |
『日本語教育史』という分野は、日本語教育課程における科目として扱われてきたが、時代的、地域的偏りがあることは指摘されてきた。本研究は、その改訂に向けた具体的な提案やそれを実現したテキストが存在しないという現実を踏まえ、新視座からの日本語教育史のテキスト第一号作成を目的に開始した。新視座に関する具体案について、平成22年度は日本語教育学会におけるパネル発表と世界日本語教育大会での海外発表、および、他分野での発表の機会を得たことで、有意義な議論とフィードバックを受けることができた。また、テキストの主要部分を全学部生対象のクラスで試行し、本研究のめざす方向性にも確信を得た。中でも本分野は、従来、日本語教育を専門とする者に対して講じられてきたが、むしろ、国際共生や対外交流史、外国語教育に関心のある者に対して、『日本語をめぐる国際交流』が果たしてきた役割に関する認識を深め、現在の言語教育に対する思索のきっかけとなりうることも確認できた。より広い分野に関わる者を対象とするためには、歴史の記述や検証だけではなく、今日との関わり、および今日的課題からの出発や応用的な視点を重視し、身近な視点からの国際交流、日本語教育について考察を深める「仕組み」を備えることが重要である。本テキストは、この「仕組み」を特徴としているが、仕組みを複数用意しておく必要性も、今回の試行の中で痛感した。震災による各国の対応や留学生の動向も大いに参考にしながら、語学教育をめぐる現代の課題や将来展望、教師としての生き方など、現代や個との接点に注目することは、この分野へのきっかけでもあり、最終目的でもある。これまで扱われてこなかった時代や地域、事柄も視野に入れ広い範囲を扱うことは、より多くの者の関心を引き寄せるためにも効果的である。本研究は、テキスト作成を通じ、現在、国際交流や語学教育に関わる人々にとって意義ある形で『日本語をめぐる国際交流史』の意義が認識されることを究極の目的としている。
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Research Products
(6 results)