2010 Fiscal Year Annual Research Report
「北方領土」における日本語教育のための教材開発研究
Project/Area Number |
21520533
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
副島 健治 富山大学, 留学生センター, 教授 (80341618)
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Keywords | 北方領土 / 北方領土問題対策協会 / ビザなし交流 / ロシア人レジデンス / 日本語教育 / 北方四島交流事業日本語講師派遣事業 / 日本語教科書 |
Research Abstract |
1998年より、独立行政法人北方領土問題対策協会(以下「協会」とする)による「北方四島交流事業日本語講師派遣事業」(以下「事業」とする)が実施されている。この事業は日本とロシアの主権問題が絡む特殊な現場で日本語教育を実践するもので、さまざまな困難な側面もある。本研究は、協会が掲げる日本の国益である「北方領土問題の解決に寄与する」ことを目的とする日本語教育のあり方、とりわけ具体的な教材(教科書)開発の研究を行うものである。 2010年度における研究は、「「北方領土」における日本語教育の現状報告」(副島、2008)、口頭発表資料「「北方領土」における日本語教育の現状と教材開発」(副島健治ほか、2009)を踏まえ、実際に具体的な教材作成に着手した。 作成に当たっては、事業の目標、教材開発のための配慮すべきファクターを整理し、作成する「教科書」のイメージと大枠を構築した。目指す教科書は、文法シラバスを積み上げるような単なる日本語教科書ではなく、いわゆる「ビザなし交流」におけるホームビジットなどを意識したコミュニケーション重視した。また友好的であること、フォーマルであること、「感謝する」などの相手に対するポジティブな表現などに配慮した。 本教科書の作成は、暫定的な試用の段階まで進んだが、まだ着手したばかりである。2011年度においては試用版をさらに改善し、「「北方領土」における日本語教育のための教材」の初版を完成させたい。 この教科書は北方領土に居住するロシア人レジデンスを対象としたもので、その基本は、「北方領土問題の解決に寄与する」ということがその出発点にある。そのことを意識し、日本語初習の学習者でも楽しく学べ、少ない学習時間ではあっても、実際に日本語が使えるようになることを目指し、北方領土における日本語教育に特化した教材開発をさらに追究していきたい。
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