2011 Fiscal Year Annual Research Report
介護現場における外国人介護労働者との異文化コミュニケーションに関する研究
Project/Area Number |
21520546
|
Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
立川 和美 流通経済大学, 准教授 (70418888)
|
Keywords | 外国人介護士候補者 / 日本語教育 / 異文化コミュニケーション / 臨床談話 |
Research Abstract |
本研究の最終年度にあたり、前年度までの成果(EPAによる外国人介護福祉士に向けた日本語教育の現状や就労の実態調査、介護臨床談話の収集とデータ化等)をもとに、以下のような内容の研究を行った。 1,介護現場における高齢者と介護者とのコミュニケーションの特性について 高齢者の発話は、発音自体が不明瞭であることに加え、しばしば地域語が含まれており、後者が外国人介護士にとっては理解しにくい要素となることが明らかになった。また、介護現場での介護士の言語活動では、plain styleが中心であり、頻用される依頼表現には、高齢者と対等な立場を構築しながらも相手に寄り添う姿勢や、様々な表現のヴァリエーションが用いられていた。現場の日本人介護士からは、介護士としての日本語教育では、文法的な正しいやりとり以上の「状況を踏まえた上で会話を行う」能力の育成、また高齢者との信頼関係のため、積極的な地域語理解が求められていた。 2.外国人介護福祉士候補者に対する日本語・日本文化教育について 日本人高齢者にとって、若い外国人介護士に介護を受けることは文化的に抵抗があることが予想されたが、現実では外国人介護士候補者の就労姿勢や人間性、基礎能力などから受け入れは比較的スムーズになされていた。しかし、現場で介護士という専門職に就く以上、日本語や日本文化については体系的な教育が必要である。まず日本語の音声については、談話内容から予測を行う能力が必要であり、いわゆる典型的な会話の習得に加え、ある程度のまとまった内容の展開ができるための教育が必要であり、また文字については介護記録や計画書などを作成できる力をつけることが仕事のモチベーションをあげることにつながると考えられる。文化的コミュニケーションについては、日本特有の「察し」や高齢者が親しんできた言葉(地域語)や文化を尊重しながらも、外国人介護士自身の持つ文化的背景を生かすことが、深い相互理解につながると考えられる
|
Research Products
(4 results)