2009 Fiscal Year Annual Research Report
誤用例の文脈分析に依拠した上級作文教材―日中両国語パラレルコーパスの活用
Project/Area Number |
21520570
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大滝 幸子 Kanazawa University, 歴史言語文化学系, 教授 (90213751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 和夫 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60137015)
深澤 のぞみ 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60313590)
三浦 香苗 金沢大学, 留学生センター, 教授 (50239175)
王 亜新 東洋大学, 社会学部, 教授 (30287552)
朱 継征 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (20313497)
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Keywords | 第二言語習得理論 / 誤用分析 / パラレルコーパス / 学習者コーパス / 上級外国語教材 |
Research Abstract |
本年度は、学習者コーパス(中国人の日本語学習者)の作成と、その中国語日本語作文をパラレルコーパスとして形成する作業を行った。日中両国の大学で収集した分量70人分について誤用原因の分析にとりくんだ結果、上級者であればあるほど、母国語からの干渉をうけた「推測によるコロケーション形成の誤用」を生じる傾向をかなりはっきりと見いだせる資料がととのった。 さらに、上級者の意図する表現内容が複雑、論理的、または優雅な文体を意図するため、その作文のなかに異なる文体レベルが混在するという「修辞的誤用」が多発する傾向を見出した。 上記2点の誤用例の特色は、「外国語学習を積んだ上級学習者の使う外国語」をレベルアップするための必要条件であるという認識のもとに、「3文体差」を学習するネット教材の開発を進め始めている。第二言語習得理論はこれまで教授法とその実験結果を主材料をして研究を推進してきていたが本研究のような上級学習者の誤用例分析は新たな教材作成の可能性を開くものといえる。 また、パラレルコーパスとして母語による正文と学習対象とする第二言語による作文を検索できるようにするシステムは、両言語の対照研究についても多くの研究テーマがあることを具体的に示すものである。大学院学生の論文課題を豊かにするとともに、用例(誤用例)収集のツールとしても活用されつつあり、若い研究者の育成支援にもなるコーパスを開発しているといえる。連携研究者の国立国語研究所研究員宇佐美洋氏を招いた講演会も開催し、情報交換を行った。
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