2011 Fiscal Year Annual Research Report
誤用例の文脈分析に依拠した上級作文教材-日中両国語パラレルコーパスの活用
Project/Area Number |
21520570
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大滝 幸子 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (90213751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 和夫 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60137015)
深澤 のぞみ 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60313590)
王 亜新 東洋大学, 社会学部, 教授 (30287552)
朱 継征 新潟大学, 人文社会教育科学系, 教授 (20313497)
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Keywords | 第二言語習得理論 / 誤用分析 / 中間言語 / 文体教育 / パラレルコーパス / 上級作文教材 |
Research Abstract |
最終年度では、本科研費研究の目的であった日本語教材と中国語教材をそれぞれが「母語を教える教員」 (研究分担者)と「自らにとっての第二言語を教える教員」(研究代表者)の立場から、商業ベースに乗りにくい上級外国教材を編纂することを意図して各自の研究を進めた。 1:具体的な中国語教材または授業中の中国語教育ツールとして使用に耐える制作品として2種類のパラレルコーパス(原作と翻訳作品、正文と中間言語)と1種類の出版テキストがある。その内容は『応用言語学研究論集第5輯』金沢大学人間社会環境研究科刊行(【科研報告】課題No.21520570「誤用例の文脈分析に依存した上級作文教材」大瀧幸子)に詳しく報告した。。 2:本科研費研究の討論合宿で互いの論文講評を介してより鮮明になったことは、上記の教員としての二つの立場の違いによって自らが上級教材を編纂する際に利用やすい言語理論も、教室での教授法も異なってくるということである。本研究が当初意図した関連性理論を応用した上級教材は本来母語を教える教員による教材編纂にとって有用であると予想されていたが、まず、その理論構築に必要な「場面の特定とその場面別の分類」の区別がつくコーパスの数量が、正文、中間言語ともに予想以上に不十分であった。そのため、母語を教える教員が実施するに適した作文教育方法であるとみなされる「ピア・レスポンス」に関する論文内容と、目標言語の地を離れて行われる第二言語教育における「パブリックスピーチ(日本語)」の教育効果に対する再評価、および中国での日本語教育体制について検討を加えた。 3:最終年度では国際フォーラムを実施する予定であったが、上記のごとく遠隔web会議システムを利用した科研参加者全員による討論合宿をするにとどまった。ただ、そこでの各自の報告内容は『応用言語学研究論集第5輯』として刊行した。また、共同研究終了時の合意としてパラレルコーパスを用いた誤用例分析を今後も進めていくために、中間言語コーパスの増量を協力して進めていくこと、また文体教材を上級中級初級の段階差を示す教材開発の一例として増量を進めていくことを決定した。
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