2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520595
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
西蔭 浩子 大正大学, 表現学部, 教授 (00297079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 雅昭 大正大学, 表現学部, 講師 (60407640)
平石 淑子 日本女子大学, 文学部, 教授 (90307132)
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Keywords | 外国語 / 中国語 / 英語 / 韓国語 / 第二言語 / 外国語教育 / 異文化コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究は日本語・英語・中国語・韓国語の四言語を対照する、多言語の比較研究であり、これは本研究の第一の特徴である。先行研究の結果、文化的背景は、言語表現に先立つ思考回路、すなわち論理構成(logic)そのものに差異を与えているのではないかと推測するに至り、四言語の文化的差異をより明確に、具体的に知るために情緒的な表現を極力省いた公的な刊行物を選び、日本語の表現が英語・中国語・韓国語ではどのように表現されているかの比較を試みた。その結果、文化的背景が近いと考えられる日・中・韓の根強い文化的背景差がそれぞれの言語に反映されていることを確認できた。文化圏の大きく異なる英語圏のみならず、近いと考えられるアジア圏との比較においても、日本語の特徴として、あいまい表現や和を重んじる表現が多く確認できたことは特筆すべき成果である。次に挙げられる成果は、外国語を学ぶ過程でそれぞれの母語が様々に干渉する様が浮き彫りになるだけでなく、それに加え、外国語を母語に翻訳する過程においても、自身の母語が外国語の干渉を受けるという、いわゆる相互作用が観察された点である。この互いにおける干渉は、それぞれの文化的基盤においては考えられず、一方で自身の文化的基盤がなければ外国語学習の基盤もまたない、ということを考えれば、言語学習において、単に語彙や文型を形式的に学ぶだけでなく、それらの背景となる文化的基盤を理解する努力が不可欠であることが改めて確認された。「負の転移」を学習戦略として利用していく根拠を得たことになる。具体的には「日本語の曖昧表現」、「責任逃れの日本語表現」というキーワードが浮上し、それらが日本語母語話者が外国語を学ぶ際に「負の転移」としてかなりおおきな影響を及ぼしているのではないかという仮説を得ることができた。
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Research Products
(4 results)