Research Abstract |
平成23年度は,平成22年度に実施した,母語である日本語の文処理に関するfNIRS実験およびfMRI実験結果と比較するために,外国語としての英語の文処理について,前年度実験同様,照応形のタスクを用いてfNIRS実験およびfMRI実験を実施した。 年度前半では,fNIRS・fMRI両実験共通に使用する,英語の照応形を含むタスクを検討・作成した。その際,タスクの実験文に使用する語彙は中学1年次の学習レベルに統一し,また,英語母語話者に依頼して正文・非文ともに英文としての適切性を調査し,実験文としては不適切と思われる文を排除するようにした。 年度後半では,fNIRS実験に関しては,日本語母語話者27名(男性23名,女性4名)に対し,英語の語処理タスク(重複語判断タスク:1試行8語を与え,そのうち同一の語が2つ含まれているか否かを判断するタスク)および文処理タスク(容認可能性判断タスク:照応形"himself"又は"herself"を含む文と含まない文における正誤判断を行うタスク)を行った。また,fMRI実験に関しては,日本語母語話者26名(男性16名,女性10名)に対し,上記と同じタスク(語処理および文処理)を行った。なお,これらのタスクは基本的に,前年度実施の母語である日本語の実験タスクと並行的なものとなるように設定した。 現在,両実験とも結果を解析中である。fNIRS実験に関しては,前年度実験と同様に本研究の趣旨であるfMRI実験との連携を重視し,fMRIで広く採用されているイベントリレーテッドデザインによる実験結果の解析手法を,前年度分も含めて,検討・実施中であり,それらとfMRI実験結果との比較を予定している。fMRI実験に関しては,特に,前年度の結果から判明した日本語の照応形処理に伴う活動部位と,本実験との結果を比較検討するための解析を進めている。
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