2009 Fiscal Year Annual Research Report
福祉のためのタスク中心教授が第2言語習得過程に及ぼす影響―縦断的事例研究―
Project/Area Number |
21520604
|
Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
戸出 朋子 Niigata University of Health and Welfare, 社会福祉学部, 准教授 (00410259)
|
Keywords | タスク中心教授 / 用法依存言語習得理論 / フォーカス・オン・フォーム / English for Specific Purposes / 大学英語教育 / 介護福祉 |
Research Abstract |
福祉をテーマとする「タスク中心教授」が、英語を外国語として学ぶ学習者の中間言語発達にどう影響するのかを、「用法依存言語習得理論」の枠組みで縦断的に分析する事例研究である。初級レベルの学習者が、タスク遂行中に英語を使う経験をどのように生かしながら中間言語を発達させていくかを解明する。4年間の研究期間に行うことは、1、医療福祉系学生のための英語タスク教材の開発、2、それを使った指導の実施とタスク遂行中の学習者の思考プロセスの分析、3、タスク遂行と学習者の中間言語発達の関係性の分析である。平成21年度は、1のタスク教材の開発とそれを使った指導の試行を、以下の通り行った。 文献調査や介護福祉専門教員との協議などのニーズ調査に基づき、「介護の概念のない国出身の外国人介護福祉士候補者に対して介護福祉士としての専門性を説明する」ことをゴールとする英語タスク教材を開発した。 この教材を使用して、医療福祉系大学の1年生英語クラスで試験的に指導を行った。教材が授業の中で機能しているかどうかを確認するため、グループ単位でタスクを遂行している学生の言語データをICレコーダーで録音し、思考の焦点が何に向いているのかを分析した。 その結果、協同で、福祉をテーマとした英文エッセイを書くタスクを遂行する際に、フォーカス・オン・フォーム(意味伝達に重点をおく活動の中で一時的に学習者の注意が言語形式に向くこと。第2言語習得を促進するといわれている。)が起こっていることが明らかになった。 この分析結果から、開発したタスク中心教授は、授業の中においては機能したということができる。それが言語発達にどう結びつくのかについては、平成22年度以降、縦断的にデータをとることで解明していく。
|