2009 Fiscal Year Annual Research Report
外国語教員10年目研修制度の研究と分析-免許更新制導入に向けて-
Project/Area Number |
21520605
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
木村 友保 Nagoya University of Foreign Studies, 現代国際学部, 教授 (30329867)
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Keywords | 外国語教育 / 教員研修 / ライティング |
Research Abstract |
「教員10年目」とは何を意味するのか。愛知県の中学校、高等学校の教員になって10年目を迎えた英語教員を対象に9年前から教科指導の教員研修を担当している。そのため、この問題を考える機会を得た。研修日に講演をし、その日だけでできる簡単な演習では現場の教員の真の英語力も、指導力も、教員研修の在り方についても十分考察ができないと考えた。 平成21年度も教員研修を担当したが、研修予算の軽減化か、高校の教員研修のみとなった。そのため、教員の英作文収集と分析、スピーチ演習との比較も高校のみとなった。 高校の研修には合計で16名が参加したが、研修当日を目指して一か月ほどメール交換による英作文修正過程を調べることができた。メール交換であったため、私信さえもファイルに集め、資料とすることができた。調査は、受講生が使ったCD,ディクテーションの成果を残した練習用紙を基礎資料とし、メール交換資料、木村のコメント、ネイティブ・スピーカーのコメントを第二次資料として、分析協力をしていただける先生方に郵送した。研究者が属する「英作文研究会」に研究協力を求め、4人の協力者を得た。ライティング研究の専門家、佐藤雄大氏を含め、5人に分析を依頼した。 その結果わかったことは、研究者のコメントを受け取って、修正を試みる受講生に違いがあったことだ。コメントを自分なりに咀嚼してより良い文章を目指す人は、確実に「改善」が見られた。その逆にほぼコメントを無視している人はほとんど「改善はない」という判定を下された。一番多いタイプは一応はコメントを読むが、コメントに忠実で、自分ではあまり考えない人々は「改善もそこそこ」という段階に留まっている。 分析者のコメントで、一番刺激的であったものは、ある受講生の原文が最も生き生きとして良く、講師(研究者)のコメントに従えば従うほど、標準的な文章になってしまったという指摘である。
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