2011 Fiscal Year Annual Research Report
ムードル支援反復ディクテーション演習によるリスニング用ワーキングメモリ増強の試み
Project/Area Number |
21520616
|
Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
松岡 博信 安田女子大学, 文学部, 教授 (10249576)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎田 一路 広島大学, 外国語教育研究センター, 准教授 (20268668)
大舘 実子 安田女子短期大学, 秘書科, 准教授 (40413538)
|
Keywords | ディクテーション / ワーキングメモリ / リスニング・スパン |
Research Abstract |
本年度もMoodle上に載せたKDシステム(添削機能付きの反復ディクテーション演習WBT)のログを様々な角度から調査・解析し、その結果を異なる2つの学会にて発表した。そのうちの一つは、学会の査読付き紀要に投稿し、研究論文として採択された。以下に、まず、採択された研究論文について述べ、さらに学会発表の内容について述べる。ワーキングメモリの効率性が向上すれば、情報の保持のためにそれをより効率的に用いることができ、ひとまとまりの英文を「一度だけ聞いて書き取る」場合の、書き取ることのできる英文の長さが伸びると考えられる。本論文では、この「初回書き取り」を,ディクテーション・スパンと名付け,ワーキングメモリの効率性と深く関わるものと想定した。そして、日本人英語学習者のリスニング力,ディクテーション力およびディクテーション・スパンを調査し、ワーキングメモリを潜在変数として、それが、ディクテーション力、初回書き取り正解数、初回書き取り正解率という観測変数に対してどのような影響を与えているかを、測定方程式を用いて示した。その結果、ワーキングメモリは、3者の中で正解数に最も直接的で大きな影響を与えていることが分かった。そして、ディクテーション・スパンの効率性を向上させるディクテーション演習を継続的に行うことにより、リスニング力を向上させる可能性が十分にあるということを主張し、その具体的方法として、KDシステムによるディクテーション練習において各英文の初回は最後まで通して聴いて、単語を「出来るだけ多く正確に書き取る」努力を意識的に行わせるように学習者に指導することを提唱した。もう一つの研究発表では、学習者のログにおける聴き取り正解と不正解の単語に付加される特有の括弧形式のタグを用いて正解・不正解に分けたログ・データから、各単語の正答数、誤答数、無答数を抽出し、単語ごとの正解率を算出した。さらに、コーパス分析ソフトであるWordSmithのKeyness機能を利用した聴き取り困難語の同定方法も提案した。誤答率(無答も含む)の高い単語については、具体例を挙げると、haven'tやI'd、I'llなどの縮約形が多く、さらに、-ingを語尾に持つanythingやbeingも困難語に名を連ねた。
|
Research Products
(4 results)