Research Abstract |
本研究は,認知言語学の知見を学校英文法に取り入れ,学習者により負荷のかからない学校英文法を構築することを目的としている。研究2年目となる平成22年度は以下の内容について研究を行った。 教科書のデータベース化については,平成21年度に引き続き,高等学校英語検定教科書(英語Iおよび英語II)のデータベース化を行った。さらに本年度は新たに3学年分の中学校英語検定教科書のデータベース化を行い完成させた。 平成21年度に1)可算・不可算名詞,2)前置詞,3)文型について,認知言語学に基づく教授法およびワークシートを完成させたが,平成22年度は1)および2)についての教育的効果を定量的に測定した。特に長期的な教育効果の持続の有無という観点に着目し,従来の学校文法で用いられている教授法と認知言語学に基づく教授法を比較・検証した。その結果,本研究課題で考案した認知言語学に基づく教授法は,どちらの文法項目においても,長期的な教育効果が統計的に有意に現れていることがわかった。検証結果は,2本の学術論文を始め,学会等で発表を行い,広く公表を行った。また平成21年度に引き続き,教員免許状講習において,本研究課題で考案した教授法およびワークシートを公表し,中学・高等学校の英語教員に対して教授法についての指導を行った。平成21年度同様,現場の教員からの満足度は大変高く,学校現場への応用可能性についても高く評価された。平成23年度は,本研究課題の最終年度となるが,冠詞,関係代名詞,時制の問題など,対象とする文法項目を広げて行く予定である。また教員免許状講習において,現場の英語教員と意見交換を行い,より現場に即した学校英文法の構築を行う予定である。
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