2009 Fiscal Year Annual Research Report
小中連携に向けた英語授業改善:教師の授業・習得観の差異分析と「橋渡し指導」の開発
Project/Area Number |
21520629
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
萬谷 隆一 Hokkaido University of Education, 教育学部, 教授 (20158546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 香恵子 北海道工業大学, 総合教育研究部, 准教授 (40347753)
石塚 博規 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50364279)
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Keywords | 小学校外国語活動 / 小中連携 / 英語教育 / Teacher belief |
Research Abstract |
本研究の目的は、小学校と中学校の英語教育を円滑につなぐために、小中の教師の授業観、評価観、習得観などにかかわる信条の本質的な違いを明らかにすることである。Multivocal Ethnographyを用いて、本研究は小学校教師が中学校の英語授業を見たときに抱く疑問・反応、あるいは中学校教師が小学校の英語授業を見たときに表明された疑問・反応を分類し分析した。そこに反映された教師の信条から、まず総体的には、小学校では子どもの態度目標とコミュニケーションへの積極性が重視され、中学校ではスキル習得それ自体が目標であるということが明確になった。 小学校教師たちが中学校授業に対して表明した感想としては、1)中学校の授業のゴールが、コミュニケーション活動というよりは、教科書の暗記や発表活動などスキル練習であることへの疑問、2)子どもたちが進んで課題解決に取り組む授業が小学校で重視されるという自己認識、が表明された。また、3)中学校の授業のペースが速く、小学校に比べて生徒一人一人への配慮が十分でないのではないかという疑問、4)外国語活動に人間関係・学級作りの役割を持たせるという要素が中学校でも配慮されるのかという疑問、等が表明された。一方、中学教師は小学校授業を見て、1)難しい項目の練習不足への懸念、2)電子黒板より教師の肉声の方が生徒の集中を促すこと、3)リピート量の不足等、指導の効率や定着の工夫についての意見表明が見られた。 小中連携は、表面的なカリキュラムや指導法のすりあわせだけでは、望ましい連携体制が生まれない。教師の信条や意識のレベルで、学校文化、教師文化が違っていることを相互に認識していなければ、相手の正確な状況理解、さらには相手の教育や子どもに関わる考え方への尊重心は生まれてこない。本研究は、そのような本質的な違いをより明確に意識するための手がかりを提供した。
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Research Products
(2 results)