2010 Fiscal Year Annual Research Report
反奴隷制運動の国際ネットワークにみる近代的「人権」・「人種」概念の成立と変容
Project/Area Number |
21520657
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中沢 葉子 (並河 葉子) 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (10295743)
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Keywords | 反奴隷制 / 女性 / 宣教師 / クラパム派 / 福音主義 / 人種 / 人権 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に引き続き、反奴隷制運動についての最新の研究動向の把握に努めながら、反奴隷制のイデオロギー形成とその反奴隷制運動への具体的なインパクトについておもにイギリスを中心に検証した。ロンドン大学を中心に、奴隷貿易商たちが形成した文化的、社会的インパクトを検証しようと新たに立ち上げられたプロジェクトの紹介と、今後の検討課題などを集中的に討論するために2010年7月にロンドン大学にて開催されたシンポジウムでは、反奴隷制運動の核となったグループのひとつであるクラパム派について、研究者との意見交換を行った。このグループの女性たちが反奴隷制運動にどのように関わったのか、またそれがイギリス以外のヨーロッパや非ヨーロッパ世界にどのような影響を与えたのかについては検証の余地が大きい。この点については、ロンドン大学のシンポジウムの直前、エジンバラ大学でミッション研究のイェール・エディンバラグループが開催したキリスト教宣教師の活動の歴史的意義を問う国際会議で、宣教師たちが持つ倫理観、道徳観のなかでも奴隷制についての姿勢に、クラパム派の思想がどのように継承されているのか、とりわけ女性たちが宣教活動を非ヨーロッパ世界で行う中で、奴隷制についてどのような姿勢を示したのか、具体的にどのような点が問題となったのかなどについて研究者たちと集中的に議論した。 また、イギリスにおける反奴隷制運動のイデオロギー形成に女性たちが果たした役割と、運動への具体的な関わりについて、3月に開催された神戸市外大英国研究センター主催の研究会において「反奴隷制運動と女性たち」とのタイトルで報告を行った。
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