2011 Fiscal Year Annual Research Report
反奴隷制運動の国際ネットワークにみる近代的「人権」・「人種」概念の成立と変容
Project/Area Number |
21520657
|
Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中沢 葉子 (並河 葉子) 公立大学法人神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (10295743)
|
Keywords | 反奴隷制 / 人権 / ジェンダー / 家族 |
Research Abstract |
今年度は、前年度までの成果に加えて、あらたに、19世紀半ばの史料の検証なども踏まえて近代的な反奴隷制運動がイギリスおよびアメリカにおいて展開する中で、「人種」および「人権」の概念がどのように成立したのかについて研究進めた。 6月にミッション研究を行う研究者グループのイェール・エディンバラグループの年次大会にて19世紀後半のイギリス系伝道団体の教育活動の結果、日本や非ヨーロッパ世界にヨーロッパ的なジェンダー観あるいは、家族観がどのように受容されたのか、日本や他のアジア圏との状況を比較しながら検証した研究について報告を行った。これは、ヨーロッパの強い文化的影響下にあった西インドやアメリカ南部など、当時奴隷制度を有していた地域における奴隷制度のジェンダー役割についてと関連する研究である。これが反奴隷制運動の言説や実際の運動の中にどのように投影されていたのかについて、現在研究成果をまとめる作業を進めているところである。また、この年次大会においては参加していたアメリカ、イギリスおよび他のヨーロッパ諸国の研究者と本研究テーマについて、主として伝道団体の関わり、また、アジア・アフリカ地域における奴隷制への多様な対応について討議した。 海外共同研究者のロンドン大学のシーハン教授からは、環大西洋における反奴隷制運動の影響が環インド洋奴隷貿易にどのように作用したのかについて意見交換を行うとともに、近接分野の研究動向についての助言を受け、今回の成果をまとめつつ、さらに発展させる共同研究を計画することで合意した。
|