2010 Fiscal Year Annual Research Report
森林・鉱物資源の開発・活用から見た世界遺産白神山地の変容
Project/Area Number |
21520660
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
長谷川 成一 弘前大学, 人文学部, 教授 (20013287)
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Keywords | 世界自然遺産 / 白神山地 / ブナ林 / 鉱山 / 林業 / 知床 / 屋久島 |
Research Abstract |
本年度は、代表者と研究協力者が分担して調査にあたり、我が国における世界自然遺産に登録されている屋久島と知床へ実地調査並びにフィールドワークを実施した。代表者は、知床に於いては、ガイドを雇って実際の自然保護の在り方と登録前と後ではどのような相違があるのかを実地に調査した。加えて、松前藩が幕末に作成した、蝦夷地の景観図としては最も優れた「延叙歴検真図」(函館市中央図書館蔵)に描かれた、知床と知床付近の景観とその関係図を実見して検討した。さらにデジタルカメラにそれらの景観を撮影して、「延叙歴検真図」との詳細な比較を実施した。「弘前藩庁日記」の近世中期から後期にかけての、白神山地関係資史料を収集し、秋田藩側に関しては、『日本林制史資料-秋田藩』から関係資料の抽出作業を実施した。 研究協力者は、白神山地との比較をする必要性から、12月下旬に国内の世界自然遺産屋久島のフィールドワークを実施した。屋久島世界遺産センター・屋久杉自然館では世界自然遺産としてのデータ及び屋久杉の近世期かちの林業史に関する資料を収集した。また、屋久島自然休養林の一つであるヤクスギランドでは屋久杉林観察コースを踏査し、樹齢数千年の屋久杉や近世の屋久杉伐採跡など、屋久杉の生態・利用・保存の実態を観察しデジカメで記録した。 また、これまで収集した資料を用いて、秋田藩側白神山地の近世期の植生復元に着手するとともに、秋田藩による森林支配と利用について分析を開始し、その成果の一部を公開講座や研究会で発表した。
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