2011 Fiscal Year Annual Research Report
森林・鉱物資源の開発・活用から見た世界遺産白神山地の変容
Project/Area Number |
21520660
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
長谷川 成一 弘前大学, 人文学部, 教授 (20013287)
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Keywords | 世界自然遺産 / 白神山地 / 流木 / 済州島 / 沈羅巡歴記 / 大東輿地図 / 屋久島 / 弘前藩 |
Research Abstract |
本年度は、研究協力者とともに研究成果の取りまとめと補充調査を実施した。主として弘前市立図書館における収集資料の補充ならびに分析、秋田県公文書館所蔵史資料の補充調査と収集作業を行った。 さらに、世界自然遺産である白神山地の歴史的な実態をさらに深く考察するために、2007年、同じくアジアでの世界自然遺産に登録された、韓国済州島〈済州火山島と溶岩洞窟〉の実地調査とソウル市にある韓国の国立中央博物館史資料の調査を合わせて行った。済州島では、自然博物館と(1)漢拏山天然保護区域、(2)拒文溶岩洞窟系、(3)城山日出峰タフコーン(凝灰丘)の実地踏査を行った。加えて、18世紀初頭に済州牧官・節制使(済州島の最高統治者・陸海軍の指揮官)の李衡祥によって記録された「沈羅巡歴記」の調査と収集作業を行い、江戸幕府の国絵図に描かれた白神山地と済州島の世界自然遺産群との比較を文献学的・図像学的にも行った。 ソウル市の中央博物館では、1861年に作成された、「大東輿地図」に見える済州島の世界遺産群の確認を行い、写真撮影を行ってそれを元により分かりやすくイラスト化した図の作成を実施した。これによって、18世紀初頭から19世紀後半における済州島の世界遺産の変容を辿ることができるようになった。 このほか、17世紀から19世紀にかけての津軽領における西目屋地区の白神山地の利用状況を史資料を駆使して復元し、弘前藩による18世紀末の流木山の設置と伐採のシステム構築に関して、見通しを得ることができた。
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