2011 Fiscal Year Annual Research Report
蔵ネットワークの観点からみる日本近世の流通構造とその変容の研究
Project/Area Number |
21520666
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
原 直史 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (70270931)
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Keywords | 日本史 / 日本近世史 / 流通史 / 蔵ネットワーク |
Research Abstract |
研究最終年度である23年度は、以下のような形で研究を遂行した。 1.新潟湊後背地の既刊史料集については、各種の蔵に関する記述の抽出作業を行ってきたが、年度中にほぼ網羅的にデータ検索を終了した。これにより、各種の蔵の態様を立体的に把握することが可能になった。 2.以上を踏まえた重点的な調査対象として、本年度は新潟湊における蔵と米穀流通をめぐる未刊史料の収集を設定し、新潟町会所文書等を中心に収集を行ったうえで、これを基礎として考察を進めた。 3.比較対象としての江戸・大坂等の資料収集は依然遅れていたものの、収集した既刊史料の検討を行って、上記考察の参考とした。 4.以上の作業を踏まえた考察によって、前年度までに明らかにした地主作徳米流通の多面性・重層性について、さらに年貢米流通との関係を含めてより立体的に位置づけることができ、また、このような特徴が見られるようなった時期など、歴史的展開過程を明らかにする見通しを得た。また、都市新潟の貧困者に対する救恤が、単なる貯穀蔵の設置というにとどまらず、こうした多様な存在のネットワークの中で実現していることをもうかがうことができた。このような研究成果は、まさに性格の異なる蔵を物資が移動しながら流通していくという、蔵ネットワークの観点がもたらした新知見ということができる。 こうした新知見についての論文は、年度中に発表することができなかったものの、現在投稿準備中である。
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