2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520668
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 讓治 Kyoto University, 文学研究科, 教授 (40093306)
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Keywords | 豊臣秀吉 / 豊臣政権 / 政治過程 / 政権構想 |
Research Abstract |
前年度までの科学研究費費補助金によって収集してきた豊臣秀吉文書6700点あまりについて、原本・写真・影写本による点検と年代推定を出来る限り実施し、その成果を「秀吉文書集成2010.2版」としてまとめ、主要な豊臣期研究者に送付した。その結果、さらに数十点の新たな豊臣秀吉文書についての情報を得ることができた。今後も「秀吉文書集成」のバージョンアップを行っていく予定である。なお、点検および年代推定は今年度で完了してはいない。 また、研究成果として論文「「惣無事」はあれど「惣無事令」はなし」を書き、『史林』に投稿し、2010年5月刊行予定である。内容は、藤木久志氏の「惣無事令」論が、藤木久志氏が1978年に提起した「惣無事令」論を、「令」の性格に注目し、その存立について論じた。まず氏の「惣無事令」論とその後の研究史を位置づけたうえで、氏が「惣無事令」を最初に見いだした一二月三日付の秀吉直書の性格を検討し、「惣無事」の意味、直書にある「惣無事之儀今度家康ニ被仰付候」の解釈、返書としての性格、地域的ズレについて述べ、この直書を「ひろく関東・奥羽にわたる天下一統の実現をめざして発した大きな停戦命令」とする氏の位置づけは成立せず、さらに、秀吉がかかわった「惣無事」を具体的に分析し、それぞれが個別的・時事的なものであり、氏が想定した広域的かつ持続性のある「令」の姿をそこには確認できないとした。最後に氏の「惣無事令」を前提としたとき、それに跛行・逸脱する事例のあることを指摘し、広域的・持続的な「令」の存在に疑義を呈し、全体として氏の「惣無事令」論は存立しえないとする。
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Research Products
(2 results)