2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520671
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 昌明 Kobe University, 人文学研究科, 名誉教授 (30106760)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 泰弘 甲南大学, 文学部, 教授 (30289011)
高橋 一樹 国立歴史民俗博物館, 研究部, 准教授 (80300680)
|
Keywords | 内乱期の戦争過程 / 荘園制の構造矛盾 / 中国銭貨 / 北越荘園の現地調査 / 奈良坂踏査 |
Research Abstract |
1.まず、近年研究が進んでいる治承・寿永内乱期の政治過程・戦争過程、内乱期の軍事組織の特徴についての基礎史実の確定を行い、軍事動員・行動がまきおこした社会的影響についての展望をえることができた。内乱は源平両氏の抗争にとどまらない荘園制の構造矛盾が爆発した全社会的規模の戦争である、というのが研究代表者の立場だが、矛盾が拡大してゆく社会的背景・条件について究明するあしがかりになった。 2.甲南大学と国立歴史民俗博物館において、昨年七月、本年一月の二度の研究会を行った。一回目は荘園の領家にかんする佐藤泰弘の論文の検討と、近年の荘園制論についての高橋一樹の報告があり、所領の寄進の意味などについて議論を深めな。二回目は、内乱前の中国銭貨の流通について研究代表者が報告を行い、議論を深めた。さらに研究協力者の正木から平安後期の伊賀国黒田荘の拡大にかんする報告をえて、討論を行った。 3.昨年一一月、荘園の現地調査の第一弾として、研究代表者・分担研究者・研究協力者全員で、北越後の巨大荘園(白河荘、奥山荘・荒川保など)の故地を訪れ、文献史料とつきあわせながら、立地条件、規模、荘園の境界などについて、具体的な知識をえることができた。 4.本年三月に、研究代表者が山城木津・奈良をむすぶ奈良坂(歌姫越え)を徒歩踏査し、平安後期の物流ルートを確認した。 5.平家政権を史上初の幕府(六波羅幕府)として位置づける研究代表者の見解にたいし、上横手雅敬氏より批判があった。これにたいし中国・朝鮮における幕府のあり方を参照しながら、建設的な反論を行い、幕府の本質が東国政権にではなく、国家的な軍事警察にかんする役割を分掌する機関にあることを確認した。
|
Research Products
(4 results)